交通事故ドリル

〜交通事故後立ちはだかる壁に風穴を開けろ!〜


 [3] その双方が成立するかを確認する

《 物理法則は常に成立する 》

 (例題7)
 驚く事に、[1]速度、[2]角度、の2つの事柄が同時に成立する事ができない鑑定があります。
 同時に成立できないという事は、『主張している条件が物理的に矛盾している』可能性が高い事を意味します。
 仮定した条件や値が間違っている可能性が高いと言えるのです。

 (例題7)
 私自身の事故では、保険会社側は「衝突角度は25°以下で、バイクの速度は時速73.8km以上」だとする鑑定書を裁判に提出してきました。

 (回答7)
 まず、「衝突角度は25°以下…」と衝突地点までの条件から回転半径Rを求めると、cd = 3.32(m)より
  R=3.32÷(1-cos25°)=3.32÷(1-0.906)=35.435…(m)
となります。(図の黄色円)
衝突角度と半径の関係図
 私「衝突角度25°などと言う浅い衝突角度では、被告車両は駐車車両に衝突する。 事故後、その様な事実が無い事からも、低すぎる値と言える。」
と指摘しました。
 (『Xと衝突角度から回転半径を計算』参照)
 すると、
 保「衝突角度25°とは『相対角度』の事で、被告車両の走行車線との角度の事を言っているのではない。」
と反論してきたのでした。
 ここで「…バイクの速度は時速73.8km以上」だとする保険会社側の条件に注目すると、
(73.8÷3.6)×(73.8÷3.6)÷(0.5×9.8)≦R、85.7653061224…(m)≦R
となります。(雨天の事故だったので、路面のμを0.5で計算。)
 私「時速73.8kmの原告バイクが旋回運動を行ったところで、半径85.7m以上の円を描かなければならず、変化できる角度は微々たるものである。」
 以上より、保険会社側の主張する「衝突角度は25°以下で、バイクの速度は時速73.8km以上」同時に成立できない事を意味します。
 保険会社側の鑑定内容は支離滅裂であり、物理的に矛盾している事が証明されたのでした。
 (『速度から回転半径の限界を計算』参照)
 (『Xと衝突角度から回転半径を計算』参照)

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