*** 2017年10月31日 谷川岳山麓の秋 ***

1.ドウダンツツジ1 2.ドウダンツツジ2 3.ドウダンツツジ3 4.谷川岳
ロープウエイ
ゴンドラ1
5.谷川岳
ロープウエイ
ゴンドラ2
6.ヒナウチワ
カエデ1
7.ヒナウチワ
カエデ2
8.旧道1
(マチガ沢方面)
9.旧道2
(マチガ沢方面)
10.雑木林の黄葉
11.イタヤカエデ
の落葉
12.西黒尾根登山口 13.旧道3
(マチガ沢方面)
14.白毛門1 15.マユミの実1 16.マユミの実2 17.白毛門2 18.白毛門3 19.旧道4
(マチガ沢方面)
20.イロハモミジ
の黄葉1
21.イロハモミジ
の黄葉2
22.白毛門4 23.マチガ沢出会1 24.シンセン岩峰1 25.シンセン岩峰2 26.マチガ沢出会2 27.大山さん 28.白毛門5 29.マチガ沢出会3 30.マチガ沢出会4
31.滝になった
厳剛新道
32.マチガ沢出会5 33.雑木林の
紅葉/黄葉1
34.雑木林の
紅葉/黄葉2
35.ミズナラの黄葉 36.雑木林の
紅葉/黄葉3
37.旧道5
(一ノ倉沢方面)
38.雑木林の
紅葉/黄葉4
39.旧道6
(一ノ倉沢方面)
40.雑木林の
紅葉/黄葉5
41.雑木林の
紅葉/黄葉6
42.旧道7
(マチガ沢方面)
43.旧道8
(マチガ沢方面)
44.ブナの黄葉1 45.白毛門の黄葉 46.旧道9
(一ノ倉沢手前)
47.堅炭岩1 48.一ノ倉沢
出会1
49.一ノ倉沢
滝沢下部1
50.一ノ倉沢
出会2
51.一ノ倉岳 52.谷川岳尾根道 53.オキの耳 54.一ノ倉沢
出会3
55.一ノ倉沢
滝沢右稜
56.一ノ倉沢
滝沢下部2
57.一ノ倉沢
滝沢下部3
58.白毛門6 59.白毛門7 60.一ノ倉沢
出会4
61.堅炭岩2 62.白毛門沢の黄葉 63.一ノ倉沢出会5 64.ドウダンツツジ4 65.ドウダンツツジ5 66.ドウダンツツジ6 67.雑木林の
紅葉/黄葉7
68.雑木林の
紅葉/黄葉8
69.雑木林の
紅葉/黄葉9
70.雑木林の
紅葉/黄葉10
71.幽ノ沢1 72.幽ノ沢2 73.幽ノ沢3 74.幽ノ沢
V字状岩壁
75.幽ノ沢出会 76.旧道10
(芝倉沢方面)
77.旧道11
(芝倉沢方面)
78.岩をも穿つブナ 79.ヒメシャラ 80.ハウチワカエデ
81.芝倉沢滝1 82.芝倉沢滝2 83.白毛門北の
白い地層1
84.白毛門北の
白い地層2
85.芝倉沢の黄葉1 86.芝倉沢の黄葉2 87.ナナカマドの
幼木1
88.ナナカマドの
幼木2
89.ヤマモミジ1 90.ヤマモミジ2
91.コハウチワ
カエデ1
92.コハウチワ
カエデ2
93.ヤマモミジ3 94.ヤマモミジ4 95.ヤマモミジ5 96.ヤマモミジ6 97.ヤマモミジ7 98.岩壁の紅葉1 99.岩壁の紅葉2 100.ブナ林湧水口

 10月31日(火)/11月1日(水)の両日、何時もの大山さんと共に北関東の名峰・谷川岳(標高1973m)/至仏山(標高2228.1m)に挑戦する。初日は、足慣らしとして、谷川岳山麓を巡り(谷川岳ロープウエイ・土合口駅〜マチガ沢〜一ノ倉沢〜幽ノ沢〜芝倉沢)の散策に留め、翌日尾瀬の名峰・至仏山に再挑戦する計画である。ただ、直近の台風22号襲来に伴い、2000m級の山々には深雪が予想されるので、その際は、無理をせず途中で撤退することにする。
 10:20、若干の行き違いはあったが、無事大山さんと土合口駅売店で合流し、ここから旧道を通って谷川岳山麓を巡ることにする。土合口駅前の生垣では、"ドウダンツツジ"が真っ赤に色付いている。何とも艶やかな色合いであり、この光景を永年愛用の一眼デジカメ(CANON EOS5D mark2)とコンデジ(CANON PowerShot SX620hs)で撮影し、帰宅後PC上で比較してみると、階調/彩度共、明らかに前者が上回っているのが実感できる。何故なら、CMOSの画素数は両方共約2000万と大差ないが、その有効面積は夫々35oフィルムフルサイズ(864mm2)と1/2.3インチ(29.14o2)と、コンデジが一眼デジカメの約1/30の面積にすぎない。つまり、小面積に強引に映像素子を埋め込んだことになり、SN比が大幅に低下する結果、階調/コントラスト/彩度共に明かな差が出たことになる。だが、画質の悪化度合は、その面積比程でなく、画像ソフトで、ある程度補正も可能なレベルである。一方、重量に関しては、前者は交換レンズを含めると約9s、後者は僅か182gと、重量比で約1/50となる。従って、私のように体力のない中高年にとっては、特に登山時に重宝しそうなカメラと言えそうである。余談はさておき、旧道をマチガ沢に向かって行くと、3年前の同時期(2014年10月30日参照)に比べて、何となく黄葉が目立つように思える。つまり、紅葉の最盛期は過ぎたようだが、それでも、観光客が、三々五々、黄葉狩りを楽しんでいる。
 11:03、"マユミ"が咲く木の先に、雄大な"白毛門(標高1720m)"が姿を現す。コンデジの25倍ズーム(35oカメラ625o相当)で撮影すると、雪を頂いた山頂の巨石が眼前に迫る。一眼デジカメの場合、このクラスの超望遠レンズでは、三脚を使用しない撮影は考えられないが、得られた画像はブレも目立たずすっきりしている。これがコンデジ最大の威力というところか。更に紅葉を撮りつつ数分歩くと、急に視界が開け、雄大なマチガ沢が姿を現す。本来なら、No.23の写真中央に、谷川岳双耳峰の一つ"トマノ耳"が見える筈だが、山頂付近は厚い雲に覆われ、姿を見せない。代わりに、右手の"シンセン岩峰"が存在感を増している。全景を撮り終え、"厳剛新道"から"大滝"を目指したところ、緩やかな山道を数分程登ったところで、その先が滝のようになっており、沢登りの準備がなければ、これ以上進むのは危険である。台風22号がもたらした豪雨の影響と考えられるが、ここから引き返し、"一ノ倉沢"を目指すことにする。落葉に覆われた旧道を進むと、両側の急斜面に多くのブナが林立し、黄金色に輝いている。木の間からは"白毛門"が望め、斜度60度以上もありそうな急斜面が、緑と茶に色分けられている。"一ノ倉沢"手前の曲がり角まで来ると、遥か彼方に鋭利な岩峰群が姿を現す。昭文社の地図でチェックした限りでは、どうやら"堅炭岩"のようである。
 12:02、角を曲がると、"一ノ倉沢"が眼前に迫る。別の表現をすると、思わず駆け寄りたくなる圧倒的迫力と言うところか。中央の"一ノ倉沢滝沢右稜"の下部には雪渓が見られ、その下に大穴が開いているように見える。だが、25倍ズームで撮影した画像を確認してみると、手前の岩であることが分かる。また、"一ノ倉沢出会"の広場には、"一ノ倉沢概念図"の立て看板があり、撮影画像から岩壁の名前を特定する際に便利である。裏の看板には、"谷川岳の地質と地形"について記されており、その一部を原文のまま紹介すると、『皆さんが立っている場所の標高は約890mで、一ノ倉沢最上部の標高は約1900mあり、標高差約1000mの断崖となっています。この地域は古い時代には陸地でしたが、その後沈降を始め海になっていきました。海の時代は600万年ほど続きましたが、次第に地盤の隆起と激しい侵蝕作用を繰り返しながら、谷川岳を中心とする初期の山脈が誕生したと思われます。その後、地下に"石英閃緑岩"のマグマが生まれ、マグマは硬い岩石より軽いためゆっくり上昇し、上にあった花崗岩(6,500万年前)や、またその上にあった"蛇紋岩"の層を持ち上げました。このため、"石英閃緑岩"が一番下になっているのです。この重なり方が谷川岳の誕生の経過を物語っています。標高1400m付近より低い所に灰色っぽく見られるのが"石英閃緑岩"で、逆に1400m付近より高いところに黒っぽく見える岩が"蛇紋岩"です。この"蛇紋岩"は、土壌になりにくく、ニッケルや鉄、マグネシウムに富み植物の成長を阻害するため、ほとんどの植物が入ってこられませんが、この岩場でしか見られないめずらしい植物もあります。・・・』とある。つまり、谷川岳蛇紋岩地帯にみられる珍しい植物の代表が、"エーデルワイス"の仲間である"ホソバヒナウスユキソウ"ということになろう。一方、"エーデルワイス"はオーストリアの国花であり、オーストリアアルプスのCaを含む隆起石灰岩地帯に多く見られる。また、CaとMgは周期律表でも近いので、"石灰岩"や"蛇紋岩"のアルカリ土に生育する植物も、自ずと似てくるのであろう。更に、"エーデルワイス"は、嘗て中国青海省の"日月山(標高約3500m:2003年7月27日参照)"でも見かけたので、この地もオーストリアアルプス同様、嘗て海底にあったことを表しているようである。ふと我に返ると、"一ノ倉沢出会"の右側巨石の上に、真っ赤な"ドウダンツツジ"が確認できる。その下には、多くの銘板が貼り付けられており、この岩壁で遭難死した方々の鎮魂プレートということになろう。ここから更に"幽ノ沢"を目指す。乗り合いバスは、"一ノ倉沢出会"までで、その先の旧道は非舗装となっている。ただ、観光客が減ったせいで、却って黄葉狩りを静かに楽しむことができる。ふと来た道を振り返ると、一瞬雲間から日が射し、急に雑木林が立体感を増したように見える。
 12:40、"幽ノ沢"に到着する。先程の荒々しい"一ノ倉沢"と違って、"水墨画"の世界を彷彿させる。即ち、手前のドーム上の植物群と、屏風のような大岩壁のコントラストが、何とも見事である。ここで、少し遅い昼食を取る。その後、宿のチェックインには未だ余裕があったので、大山さんのお勧めで、"芝倉沢"を目指すことにする。この先から急に道幅が狭くなり、絶壁に抉らてた旧道を用心して進む。更に緩やかな葛篭織の旧道を登っていくと、崩落した旧道の先に"芝倉沢"が現れる。近付いてみると、沢の手前の道が崩落しており、これ以上進まない方が賢明のようである。改めて"芝倉沢"を眺めてみると、先程行けなかった"マチガ沢大滝(2014年10月30日参照)"に匹敵する規模であり、ここまで来た甲斐があったと言える。ふと、湯檜曽川を挟んだ東側の山々を眺めると、その中腹に白い地層らしきものが確認できる。何とも気になる存在であり、改めて考察してみると、これが石灰岩であれば海底に堆積する関係で、オーストリアの"ローザ山(2002年7月13日参照)"同様、山上に現れる筈である。よって、この地層は、"一ノ倉沢"の立て看板にあった"石英閃緑岩"が、露出したものではなかろうか。何れにしても、これから地学を勉強し直し、的確な判断を下せるように努力したい。ここから元来た道を、土合口駅へと戻る。
 今回は、至仏山登山の足慣らしとして、先ず谷川岳山麓周辺を散策した。やや歩き過ぎた感はあったが、迫力満点の大自然に出会え、谷川岳の秋を十二分に堪能することが出来た。明日は、愈々至仏山再挑戦である。

★活動量計データ(上り階段数:400,早歩き歩数:5,955,総歩数:24,851,歩行距離:19.6km,活動カロリー:1,367kcal,一日総消費カロリー:3,096kcal,脂肪燃焼量:66.0g)  

戻る