*** 2016年3月17日 真白き富士の嶺と残雪の愛鷹山 ***

1.位牌岳1&越前岳1 2.越前岳2 3.富士山1 4.富士山2
(階段上部より)
5.十里木展望台 6.富士山3
(展望台より)
7.富士山4
(展望台より)
8.富士山5
(展望台より)
9.宝永第一火口1
(展望台より)
10.宝永山1
(展望台より)
11.南アルプス1
(展望台より)
12.聖岳1
(展望台より)
13.荒川中岳1&
悪沢岳1
(展望台より)
14.越前岳3 15.越前岳4 16.富士山6
17.越前岳5 18.雪の樹林帯1 19.越前岳6 20.富士山7 21.雪の樹林帯2 22.雪の樹林帯3 23.馬ノ背先の岩場 24.雪の樹林帯4
25.雪の樹林帯5 26.雪の沢1 27.雪の沢2 28.雪の樹林帯6 29.雪の樹林帯7 30.雪の樹林帯8 31.雪の樹林帯9 32.平坦地
33.富士山8
(平坦地より)
34.富士山9
(平坦地より)
35.南アルプス2
(平坦地より)
36.雪の樹林帯10 37.雪の急斜面1 38.雪の急斜面2 39.南アルプス3 40.聖岳2,
赤石岳&小赤石岳,
荒川中岳&悪沢岳2
41.塩見岳,農鳥岳,
間ノ岳,北岳
42.雪の樹林帯11
(勢子辻分岐付近)
43.越前岳山頂直下の
深雪
44.越前岳山頂 45.富士山10
(越前岳山頂より)
46.伊豆半島
(越前岳山頂より)
47.駿河湾
(越前岳山頂より)
48.富士山11
(越前岳山頂より)
49.三保半島1
(越前岳山頂より)
50.三保半島2
(越前岳山頂より)
51.伊豆半島西海岸
(越前岳山頂より)
52.飛行機雲1
(越前岳山頂より)
53.越前岳の地蔵 54.位牌岳2
(越前岳山頂より)
55.富士山12
(馬ノ背より)
56.富士山13
(馬ノ背より)
57.富士山14
(馬ノ背より)
58.宝永第一火口2
(馬ノ背より)
59.宝永山2
(馬ノ背より)
60.寄生火山・二ツ塚
(馬ノ背より)
61.飛行機雲2
(馬ノ背より)
62.富士山15 63.丹沢 64.富士山16

 3月17日(木)、天気予報によると、富士山周辺は一日快晴が期待できそうである。また、十里木周辺の国道積雪凍結情報によると、3日前に降った季節外れの大雪による規制も、解除された模様である。そこで、白銀に輝く富士の雄姿と愛鷹山越前岳(標高1504m)の雪景色を求めて、十里木登山口に向かうことにする。
 8:50、自宅をあとにする。少しでも登山時間を確保するため、今回は新湘南バイパスから圏央道を経て、東名に入ることにする。御殿場ICで東名を下り、469号線を西に30分程ひた走ると、行く手正面に"位牌岳"と"越前岳(右手)"が現れる。何れも、雪化粧をしており、道南の徳舜瞥(2009年11月24日参照)以来の雪山が楽しみである。右手には、紺碧の空に"真白き富士の嶺"が望める。何れにせよ、一刻も早く、十里木展望台からこの雄姿を撮影したいと思っていたところ、突然ナビのアナウンスが、『5キロ先から、チェーン規制が始まります!!』と告げる。昨日のネット情報を信じて、その準備をしてこなかったが、まさかここでUターンする訳にも行かず、車両の通行状態をチェックしつつ、そのまま十里木登山口に向かうことにする。だが、幸運にもチェーン規制箇所や渋滞箇所は現れず、20分弱ですんなりと十里木駐車場に到着する。結局今回は、道路情報自体が間違っていた訳だが、要らぬ混乱を避けるためにも、VICSは、随時最新情報に更新して欲しいものである。
 10:12、登山支度をして十里木駐車場(標高860m)を出発する。ここからも、白銀に輝く富士山が望めるが、電線が邪魔してその雄姿を台無しにしている。そこで、先ず見上げるような急階段を登り、十里木展望台(標高996m)からじっくりと撮影することにする。約15分で何とか登り切ると、群青色の大空に、純白の富士が大きく裾野を広げている。やはり、超広角でないと、この全貌を捉えきれない。目を左に転じると、南アルプスの山並が、やや霞んで見える。ネット上でチェックした限りでは、左から"聖岳,赤石岳&小赤石岳,荒川中岳&悪沢岳"ということになろう。だが、最高峰の"北岳"は、残念ながら確認できない。超望遠に交換すると、荒々しい山容が眼前に迫る。更に、"宝永第一火口"が、山頂直下まで及び、1707年の大噴火が、山頂をも吹き飛ばす勢いであったことを窺い知ることができる。ここで、15分程粘ったであろうか。そろそろ切り上げて、"越前岳"に向かうことにする。第二中継塔辺りまで来ると、登山道脇に残雪が見られるようになる。また、ここから望める"越前岳"は、雪を被っているので、今後標高が上がるにつれて、難渋すると考えられる。この先は、暫く展望の利く坂道と明るい灌木地帯が交互に現れるようになる。
 11:12、三番目の灌木地帯を抜けると急に視界が開け、"馬ノ背(標高1099m)"に躍り出る。ここで、下山中の男性とすれ違ったので、この先の積雪状況について質問すると、『積雪量は山頂付近で50p程度です。』と仰る。私が怪訝な顔をすると、更に『でも、踏み址があるので、アイゼン無しで登れますよ!!』とのこと。その後、立ち話をする中で、年10回程も越前岳に登られる地元の方と分かる。正にこの山の主のような方で、早々のご帰還も納得できる。私の首から下がっているカメラ姿をご覧になったせいか、別れ際に、『写真と登山とどちらが優先ですか?』と訊かれたので、咄嗟に『両方です!!』と返答する。だが、改めて考えてみると、美しい被写体を撮影するために、重いカメラとレンズ一式を持って、苦しい思いまでして登っているので、優先云々ではなく、写真が目的で登山は手段ということになろう。この先の岩場から、愈々樹林帯の急登が始まる。日光が十分届かないせいで、残雪量も増え、沢の雪面には鹿の足跡らしきものも確認できる。先程の男性が仰った通り、このべた雪では、アイゼンも役に立たないので、スリップしないよう用心しながら、スローペースで登って行く。そうこうするうちに、女性二人組とすれ違う。今度は、遠路埼玉からお越しとか。お二人の情報によると、山頂からも富士の絶景が望めるとか。この話を聞いて、急に撮影意欲が湧いてきたものの、中々ピッチが上がらない。それでも、休憩を余り取らないで、一歩一歩踏み締めるように登っていく。正に「千里の道も一歩から」である。
 12:18、"平坦地(標高1300m)"に到着する。ただ、ここは、名前通りの"平坦な地点"ではなく、写真のような急斜面である。"名は体を表す"という原則からも、完全に逸脱しており、違和感は否めない。苦情はさて置き、斜面の谷側に立つと、富士が惜しげもなく雄姿を見せている。雲が湧きやすい午後になっても、ここまでクリアな姿を見るのは、私も初めてである。その西方には、白銀に輝く南アルプスの峰々が望めるが、先程の展望台からは見えなかった名峰"北岳"や"間ノ岳"他も確認できる。ただ、ここに立つ標識には、"越前岳"まで50分とあるので、まだまだ厳しい登坂が続くことになる。更に樹林帯を30分程登ると、雪の急斜面が現れる。本来なら、ここをトラバースして、崖下を覗き込みたいところだが、人の足跡らしきものも見当たらないので、敢えて危険を冒さないことにする。山頂近くになると、先程の男性が仰った通り積雪量も増え、足を取られるようになるものの、アイゼンは不要である。
 13:25、遂に越前岳山頂に到達する。標準時間を大分オーバーしたが、先程の女性が仰った通り、360度雲一つない景色が広がっている。これまでは、海側から雲が沸き上がってきて、視界が利かなかったが、今回は、深く切れ込んだ伊豆半島西海岸や、駿河湾に張り出した"三保半島"も確認できる。地形からすると、北海道・野付岬(2010年10月2日参照)に類似しているので、"砂嘴(さし)"の一種ということになろう。空を見上げると、一機の飛行機が、紺碧の空をバックに、一筋の"飛行機雲"を描いていく。ふと、重松清の小説『その日のまえに』の第一章"飛行機雲"が思い浮かぶ。あの"ガンリュウ"は、その後どうなったのであろうか? 暫し感慨に耽ったのち、アイゼンを装着して山頂を後にする。
 15:11、"馬ノ背"まで戻ってくると、相変わらず富士はクリアな姿を見せている。そこで、おもむろにカメラとレンズをザックから取り出し、レンズをテーブル上に並べて、順次撮影する。超望遠で覗くと、宝永火口付近の東側稜線に、寄生火山(側火山)らしきものが確認できる。改めて、ネット上で検索したところ、富士山には、"二ツ塚"を含む70もの側火山が見られるとか。ここから十里木展望台の先を左に迂回して、駐車場に戻る。
 今回は、早春の降雪後に、"愛鷹山越前岳"に5度目の挑戦をした。一日中晴天に恵まれ、富士山の絶景と、雪の愛鷹山を十二分に堪能することができた。機会があれば、東側の山神社から、愛鷹山に挑戦してみたい。

★活動量計データ(上り階段数:330,早歩き歩数:502,総歩数:8424,歩行距離:6.6km,活動カロリー:1285kcal,一日総消費カロリー:3008kcal,脂肪燃焼量:58.7g)   

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