*** 2015年10月28日 至仏山の秋 ***

1.利根川上流
の紅葉1
2.利根川上流
の紅葉2
3.色付き始めた
モミジ
4.大山さん 5.酒井 6.至仏山登山口
(鳩待峠)
7.登山道1 8.ダケカンバ
の林1
9.ナナカマド
の実1
10.ナナカマド
の実2
11.ダケカンバ
の林2
12.ダケカンバ
の樹1
13.ダケカンバ
の木肌
14.ダケカンバ
の林3
15.アオモリ
トドマツ1
16.アオモリ
トドマツ2
17.ナナカマド
の実3
18.ナナカマド
の実4
19.アオモリ
トドマツ3
20.登山道2
21.ナナカマド
の実5
22.ナナカマド
の実6
23.ナナカマド
の実7
24.ナナカマド
の実8
25.片品村方面 26.木製の階段1 27.木製の階段2 28.ナナカマド
の実9
29.ナナカマド
の実10
30.濃霧に覆われる
山々
31.尾瀬ヶ原方面 32.雨にぬれた木道 33.小至仏山1 34.小至仏山2 35.蛇紋岩の
登山道1
36.小至仏山3 37.至仏山への下り 38.小至仏山への
昇り1
39.小至仏山への
昇り2
40.小至仏山への
昇り3
41.ハイマツ帯の
タカネバラの実1
42.ハイマツ帯の
タカネバラの実2
43.ハイマツ帯の
タカネバラの実3
44.ハイマツ帯の
タカネバラの実4
45.小至仏山直下
の岩場1
46.小至仏山直下
の岩場2
47.小至仏山直下
の岩場3
48.割れた蛇紋岩 49.ツルツルの
蛇紋岩
50.小至仏への
急階段1
51.小至仏山への
急階段2
52.小至仏山周辺
の岩場1
53.小至仏山周辺
の岩場2
54.濡れた
ナナカマドの実1
55.濡れた
ナナカマドの実2
56.ベンチ 57.濡れた
ナナカマドの実3
58.濡れた
ナナカマドの実4
59.濡れた
ナナカマドの実5
60.濡れた
ナナカマドの実6
61.木道傍の妖怪? 62.笠ヶ岳分岐 63.濡れた
ナナカマドの実7
64.濡れた
ナナカマドの実8
65.草紅葉1
(オヤマ沢田代)
66.草紅葉2
(オヤマ沢田代)
67.草紅葉3と池塘1
(オヤマ沢田代)
68.草紅葉4と池塘2
(オヤマ沢田代)
69.草紅葉5
(オヤマ沢田代)
70.草紅葉6
(オヤマ沢田代)
71.濡れた
ナナカマドの実9
72.濡れた
ナナカマドの実10
73.朽木の苔 74.イワカガミ1 75.イワカガミ2 76.コバイケイソウ
の枯枝?
77.濡れた
ナナカマドの実11
78.濡れた
ナナカマドの実12
79.濡れた
ナナカマドの実13
80.濡れた
ナナカマドの実14

 10月28日(水)、本日は、愈々尾瀬ヶ原に聳える百名山・"至仏山(しぶつさん,標高2228m)"初挑戦である。ガイドブックには、"谷川岳天神尾根コース"が一般向けと記載されているのに対し、"至仏山"は健脚向けとあり、私にとってはハードな登山になりそうである。そこで、1分でも多く登山時間を確保するため、昨晩中にホテルの清算を済ませ、朝食も他の宿泊客より15分早くして頂く。また、天気予報によると、本日も晴天のようだが、山の天気は気まぐれなので、万一に備えて雨具/軽アイゼンも持参することにする。
 6:30、起床。本日も晴天、宿泊した307号室の窓からも、色付き始めたモミジが見えたので、ホテル出発前に、撮影することにする。7:50、KKR水明荘をあとにし、途中のコンビニで昼食を仕入れたのち、関越道から国道120号線を経て尾瀬戸庫駐車場を目指す。更に、ここに私の車を駐車し、大山さんのSUV(X-TRAIL)で、"鳩待峠(標高1591m)"まで登り、9:40から登山を開始する計画である。ところが、予定より早く9時前に戸倉駐車場に到着したものの、鳩待峠駐車場は満車との看板が掲げられている。この時間にして満車とは、少し怪訝に思ったが、案内板に従い戸倉駐車場に向かう。ここで、大山さんが、改めて係の人に確認したところ、鳩待峠の駐車場が満車なので、乗合タクシーかバスしか交通手段がないとか。仕方が無いので、当初の計画を変更して、2台共ここに駐車し、片道930円也のチケットを購入して、乗合タクシー(実際は小形バン)の出発を待つことにする。
 9:50、"鳩待峠"に到着すると、予想通り駐車場(何と一日2500円)は、7〜8台分の空きスペースがあり、看板を無視して登ってきた車が、次々と駐車していく。正に騙し打ち遭った恰好で、暫く怒りが治まらなかったが、客商売には所詮この程度の嘘偽りは付きものなのであろう。ただ、何時までも怒っていても登山に差し支えるので、気分を変えて、登山に集中することにする。
 9:52、愈々登山開始である。単純に標高差を計算すると637mであるが、"小至仏山(標高2173m)"から一旦下るので、累積では800mを超える厳しさとなる。大山さんは、律儀に登山カードを投函しているが、その後私自身も、その重要性を痛感する羽目になる。緩やかな登山道を進むと、間もなく"ダケカンバ"の林が現れる。嘗て、道南の"ニセコアンヌプリ"山腹で、密生した"ダケカンバ"の大群落(2009年10月19日参照)を見掛けたが、こちらは疎らである。そうこうするうちに、クマザサの中に、艶やかな"ナナカマド"の実が見られるようになる。登るにつれ、次第に大振りになり、正に壮観と言うほかない。また、"アオモリトドマツ"も加わり、植生がどんどん変化していく。40分程で最初の木製の階段が現れ、以降傾斜が徐々にきつくなっていくが、息切れするような厳しさではない。所が、南側が開けた木道を登っている際に、ふと片品村方面の山々を眺めると、雨雲が猛烈なスピードで流れ落ちてきて、あっと言う間に山々を呑み込んでいくのが確認できる。この分だと、此方の登山道が雨雲に覆われるのも、時間の問題であろう。
 11:12、"尾瀬ヶ原"が一瞬姿を見せる。喜びも束の間、視界は急激に悪化し、そのうち小雨も混じるようになる。木道も雨に濡れ、スリップし易くなったので、一歩一歩踏みしめるように登って行く。森林限界を過ぎると、今度は露出した"蛇紋岩"が現れ始め、木道が途切れた先の急傾面を登る際は、細心の注意が必要となる。ここを無事踏破したのも束の間、却って気が緩んだせいか、ラグビーボール大の濡れた"蛇紋岩"に足を取られ、ザックから転倒する。幸い、倒れ込んだ先がブッシュであったため、カメラ/身体共に損傷はなく、事なきを得る。ただ、冷たい雨が本降りになってきたので、カメラをザックに押し込み、店仕舞をする。だが、雨に濡れた"ナナカマド"の実を眺めていると、"小雪が積もったナナカマドの実(2009年10月11日参照)"を思い出し、急に撮影意欲が湧いてくる。さりとて、立ち止まってカメラを取り出す余裕もないため、もしチャンスがあれば、下山時にこの光景を撮影することにする。更に、"小至仏山"への急登が始まる地点まで来て、先頭を大山さんに譲ると、タフな大山さんは、ハイペースで急階段を登っていき、あっという間に雲間
に消えていく。そうこうするうちに、ズボンにまで雨水が浸透し、下肢が冷えてくる。雨になる前に、ゴアテックス製に履き替えるべきであったが、後の祭りである。私も弱気になり、"低体温症"の可能性も頭をよぎったため、大山さんに携帯で、"至仏山"登頂を諦め、ここから下山する旨を告げる。
 12:35、数分程下ったであろうか、丁度腰掛けにぴったりの岩が見つかったので、ここで昼食を兼ねて小休止する。そのうち、雨も小降りとなり、改めて闘志が湧いてきたので、大山さんに再挑戦の意志を伝えようと、携帯に連絡を入れたところ、「こちらは ソフトバンクです、おかけになった電話は電波の届かない場所に居られるか、・・・」なるメッセージが流れる。仕方が無いので交信は諦め、そのまま急階段を登り、何とか尾根道に出ると、今度は台風並みの寒風に晒される。やはり、2000m級の山は、低山とは全く別の姿を見せるものである。それでも、"小至仏山"には登頂しようと、雨に濡れた"蛇紋岩"の登山道を、恐る恐る登って行く。
 12:52、何とか"小至仏山"に到達すると、山頂には墓標のような石碑があるのみで、視界は全く不良である。ただ、幸運にも、雨が小降りになってきたので、ここで徐にカメラを取り出し、付着した水滴やレンズの曇りを取り除いたのち、この石碑を撮影する。改めて大山さんの携帯にサプライズコールを掛けたところ、幸運にも今回は何とか通じる状態である。大山さんは、私の登山復帰に驚愕しているが、私も、大山さんが無事"至仏山"直下まで到達したことを知り安堵する。どうやら、お互いが尾根道に出て、電波が通じ易くなった模様である。ここで、改めて携帯の有難さを実感することになったが、今後更にGPS付携帯を有効活用すれば、遭難防止にも繋がると考えられる。このあと、途中で大山さんと合流するため、"至仏山"に向かってハイマツ帯を下り始めたところ、その先の登山道がガスの中に消えている。また、赤いペンキやテープの道案内も確認できないため、万一沢に迷い込み、動けなくなっても拙いので、残念ながらここから引き返すことにする。大山さんには、写真を撮りつつ、ゆっくり下山する旨を告げる。
 13:18、"小至仏山"まで戻り、ハイマツ帯を進むと、その中に"真っ赤な実"が目に留まる。枝振りからすると、"ツツジ"の一種のようにも思えるが、何れにせよ、帰宅後改めて名前を特定するため、数ショット撮影する。何か得をしたような気分で、濡れた"蛇紋岩"の上を、カメラを片手に抱えたまま、細心の注意を払って下って行く。また、登りの際は、"小至仏山"の荒々しい光景を収めることが出来なかったので、振り返って撮影する。なお、"赤い実"の名前特定は、思いの外難航し、結局Aさんのお力を借りた結果、"タカネバラ"と判明する。この際、"赤い実"本体以外の幹や棘の写真が、功を奏した格好だが、Aさんは、最初からこの科を思い浮かべていたようである。改めて、ネット上でこの花の写真をチェックしたところ、カナダの首都オタワで見かけた"ハマナス(2009年8月25日参照)"に酷似している。また、奥尻島で撮影した"ハマナス"の実(2006年8月17日参照)は、"タカネバラ"のそれに比べて、形/大きさとも異なるものの、朱色と先端の枯れた萼等、バラ科共通の特徴が見受けられる。
 14:03、何とか岩場を下ってくると、雨に濡れた"ナナカマド"の実が目に留まり、早速この光景を標準ズームで撮影する。次に、長い木道の先にベンチが現れる。この付近に、更に大振りの"ナナカマド"の実が見られたので、ベンチの上で望遠レンズに交換し、アップで狙うことにする。この間、男性二人組が、挨拶をして通過して行く。間もなくすると、"ドスン"という音がして、"やってしまった"との奇声も聞こえてくる。改めて、2本の木道を眺めると、片側には等間隔に横木が設けられているものの、他方には見られないので、多分こちらを歩いた方が、スリップした模様である。私も今後は、横木付き木道を歩くように心掛けたい。笠ヶ岳分岐を過ぎ、更に数分下ると、急に視界が開け、"オヤマ沢田代(さわたしろ,標高2040m)"が現れる。この高地にある泥炭質の湿地帯には、"池溏(ちとう)"と称する小沼群が見られ、その脇に巨大な"蛇紋岩"が露出している。ここで、色々な角度から、この湿原を撮影するため、2本の木道を渡り歩いていたところ、背中から転倒する。資源保護を考えると、木道上でアイゼンを使う分けにはいかないので、やはり、緩やかな木道を歩く際も、油断大敵であることを思い知る。
 15:24、片品村方面が望める地点まで戻り、山側斜面に目を遣ると、"ナナカマド"の木々が群生しているのが確認できる。よって、今月初旬は、さぞかし見事な紅葉に覆われていたと推定できる。ここで、再度雨に濡れた"ナナカマド"の実を撮影していると、木道を駆け下りてくる足音がする。振り向くと、何と大山さんである。御歳・・才にしてこのスピードに、私も感心すると同時に、無事な姿を見て一安心したが、"至仏山"に向かう途中でスリップしかけたとか。やはり、雨の"至仏山"は、思わぬところに危険が待ち構えているため、今後は避けた方が賢明であろう。乗合タクシーの待ち合わせ時間が迫ってきたので、ここから、脱兎の勢いで下山する。
 今回は、10月27日/28日の両日、大山さんと共に榛名山・掃部ヶ岳/至仏山に初挑戦した。生憎、二日目は私の体力不足で至仏山まで御一緒出来ず、大山さんには御迷惑をかける結果になったが、私なりに、2000m級の山の厳しさと楽しさを同時に味わうことができた。機会があれば、好天時に再挑戦したい。

総歩数:13,747歩
登りの厳しさ:▲〜▲▲(鳩待峠〜小至仏山手前),▲▲▲(小至仏山手前〜小至仏山)
雨天時の転倒の危険性:▲▲▲(オヤマ沢田代〜小至仏山)

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