*** 2010年8月24日 富士山新五合目付近 ***

1.Evaさん1
(新5合目登山口)
2.シャジン類1
(新5合目)
3.シャジン類2
(新5合目)
4.ミヤマ
アキノキリンソウ
(新5合目)
5.キオン1
(新5合目)
6.キオン2
(新5合目)
7.オオサワ
トリカブト1
(新5合目)
8.オオサワ
トリカブト2
(新5合目)
9.ヤハズヒゴダイ
(新5合目)
10.新6合目への登り 11.Evaさん2
(新6合目手前)
12.Evaさん3
(新7合目への登り)
13.Evaさん4
(新7合目への登り)
14.新7合目への登り 15.ムラサキ
モメンズル1
16.ムラサキ
モメンズル2
17.ムラサキ
モメンズル3
18.イワツメクサ
19.ミヤマ
オトコヨモギ
20.斜面のお花畑 21.ヤナギランと
オンダテ
22.ヤナギラン1 23.ヤナギラン2 24.ヤナギラン3
25.ヤマハハコ? 26.数珠繋がりの
上り登山客
27.下山中の
鈴木先生御一行
28.Evaさん5
(7合目への上り)
29.記念撮影1
(新6合目)
30.7合目への
登山道
31.オンダテ 32.ジージと
お孫さん
33.宝永山への
登山道
34.イワオウギ 35.宝永火口全体 36.記念撮影3
(宝永火口)
37.記念撮影4
(宝永火口)
38.メイゲツソウ
(イタドリ)
39.ヤマホタルブクロ1
(第3火口)
40.ヤマホタルブクロ2
(第3火口)
41.ヤマホタルブクロ3
(第3火口)
42.ヤマホタルブクロ4
(第3火口)
43.宝永山1 44.宝永山2 45.第1宝永火口 46.第3宝永火口 47.フジアザミ1 48.フジアザミ2

 8月初旬、オーストリアからの短期留学生・Eva Hasenhutl(2009年8月末渡欧時レオベンにて面談/会食)が来日し、彼女の希望を入れて、日本の象徴・富士山新五合目に挑戦する。私にとっても、富士山は約20年ぶりであり、周辺がどのように様変わりしているか楽しみである。一方、この件を、日頃お世話になっている鈴木先生に御相談したところ、栗山さん御一家(ご長女のファミリー)とお隣の山口さんと共に、5名で参加して頂けることになる。ただ、朝にまるで弱い私は、当初8:00JR藤沢駅出発を計画したが、朝に強い鈴木先生の大反対にあい、5:00と7:00出発の二班に分かれて、平日富士山に向かうこととなる。私はやや組合せに不満があったが、結局先発組は、鈴木先生,山口さん,栗山さん御一家の5名、後発組は、私と都内から参加するEvaの2名ということにあいなる。
 8月24日(火)7:00、JR藤沢駅で無事Evaをピックアップする。聞けば、5時前起床とのこと。少々可哀そうな気もしたが、本人は至って元気そうである。中々流暢な英語を喋るスマートな女性である。ここから先ず厚木ICを目指す。この時間帯なら、比較的すんなりと高速に入れると思いきや、門沢橋手前から先が、にっちもさっちも行かない状態である。8:12、渋滞の真っ只中、鈴木先生から電話が入る。既に新五合目に到着されたが、平日にも拘らず駐車場が満杯とか。9時過ぎ、やっと東名高速に入る。足柄SAで昼食を買い込んだあと、御殿場ICで高速を降り、富士山スカイラインを新五合目へとひた走る。途中、申し訳なさそうに、昼食時間を聞かれる。12時頃でどうかと答えると、下を向いて、分かりましたとのこと。私も気を利かせば良かったのだが、どうやら早朝の出発で、小腹が空いてきたようである。そこで、車内で食べても一向に構わないと言うと、嬉しそうにサンドイッチを頬張る。最近の学生にしては実に奥ゆかしく、好感が持てる。ついでに、最近の日本人女性の車内での化粧について苦言を呈すると、母国オーストリアでは考えられないこととか。国際的にみても、マナー以前の、恥知らずな行為であるのは間違いなかろう。打ち解けてきたところで、オーストリアで一番印象的な場所を聞かれたので、即座に2002年夏に訪問した"Bad Aussee"と答える。更に、誰かのお薦めかと聞かれたので、Dr.Krisper(彼女の主任教授のメーカー時代の元上司)の御招待で、彼の別荘に三泊させて頂き、一緒にローザ山に登った話をしたところ、目を丸くして吃驚している。実は、Evaのお父さんが"Bad Aussee"にお住まいで、彼女もこの山を良く知っているとか。出会いとは実に不思議なものである。これが私が良く遭遇する、シンクロニシティーの真骨頂であろうか。このブロブをご覧になった方々も、"ハイジの世界"のような以下の写真を、別途ご覧になって頂ければ幸いである。
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 10:30、やっと新五合目に到着する。しかしながら、鈴木先生の事前の情報通り、駐車場は満杯である。仕方がないので、前の車に従って周回路を巡って行くと、幸運にも売店の裏手に駐車スペースを発見する。鈴木先生と連絡を取ると、既に新七合目とか。我々が、これから登り始めることを告げ、途中で合流することにする。新五合目付近は、荒涼たる火山灰地と思いきや、意外と植物が豊富で、濃紫色の"トリカブト"や黄色の"アキノキリンソウ"が、緑の草叢に彩りを添えている。標高2400mの登山口で記念撮影後、先ず新六合目を目指す。傾斜自体は別段きつくないが、中々ピッチが上がらない。私が撮影している合間にも、Evaはどんどん私を引き離していく。聞けば、日頃水泳で鍛えているとか。要するに、心肺機能の差のようである。そうこうするうちに、新六合目の山小屋・雲海荘(標高2490m)に到着する。ここで休憩し、鈴木先生御一行を待つつもりであったが、携帯で連絡したところ、新七合目の小屋で昼食中とか。ここで待ちぼうけも何なので、我々もそちらに向かうことにする。この辺りから、傾斜がきつくなり、息切れと共に軽い欠伸も出るようになったが、足元の蓮華に似た紫の花が、元気づけてくれる。
 6合目(標高2600m)手前まで来ると、斜面にお花畑が広がっている。艶やかなピンク色の花は、荒地に強い"ヤナギラン"であろう。その奥には、"オンダテ"とは別種の白花が、日の光を受けて銀色に輝いている。これを超望遠(420mm)で覗くと、どうやら北海道でよく見かけた、"ヤマハハコ"のようである。更に、レンズを登山道側に向けると、下山中の鈴木先生御一行が確認できたので、ここで暫し花々を撮影しつつ待つことにする。
 12:30、やっと全員集合となり、初めて挨拶を交わす。最年長のお二人は、共に富士山は2度目とか。山口さんは、今回亡き御主人愛用のステッキを携えての弔登山である。栗山ファミリーは、今回が初めてであるが、実咲ちゃん(中2)と萌衣ちゃん(小4)が、一番元気だったとか。ただ下りは足が踊り、転倒する場面もあったようである。それにしても、すごい頑張り屋さんである。ここから、新六合目まで一緒に下り、我々は遅い昼食を取る。
 13:24、宝永火口に向けて雲海荘を後にする。小屋の直ぐ近くには、"ハイマツ"に似た樹木が、登山道両脇を覆っている。葉の先端を良く見ると、"カラマツ"の形をしており、風雪に耐えて、このような形になったのであろう。さしづめ、"ハイカラマツ"というところか。なだらかな登山道を5分程下ると、雄大な宝永火口が現れる。ここで、記念撮影をしたのち、更に火口に向けて下る。ただ、麻衣ちゃんが同行を拒否して、お母さんをてこずらせている。所で、宝永山の名前の由来は、江戸中期の宝永4年(1707年)に、富士山腹から大噴火したことによるが、以降300年余り富士山は休眠状態にある。噴火口は3つあり、上部の第一と下部の第三が特に雄大である。また、第三火口壁には、"ホタルブクロ"が群生し、その周辺の小石は、白く粉を噴いている。場所柄からして、硫黄の結晶と思われるが、こんな可憐な花が、よくも強酸性土壌で子孫を残せたものである。一方、北海道の活火山・樽前山でも、そのカルデラに"イワブクロ"や"イワギキョウ"が点在し、数少ない昆虫に確実に受粉させるためか、袋状の花弁になっている。それ以外の植物では、両山とも"イタドリ"が幅を利かせている。所で、イタドリは、シーボルトが幕末に母国に持ち帰って以来、猛烈な勢いでヨーロッパ全土に広がり、固有種を駆逐する勢いとか。私自身も渡欧の度に、オーストリア,ハンガリー他でイタドリを見かけており、各国で駆除の対象になっているようである。帰路、巨大な"フジアザミ"を撮影し、宝永火口を後にする。
 今回、Evaの東工大短期留学中に、鈴木先生,山口さん,栗山さん御一家と共に、冨士登山に挑戦した。私自身は、新五合目付近の散策に近かったが、ローザ山でも見かけた"ヤナギラン"や"トリカブト"にも再会でき、十分富士山を堪能することができた。機会があれば、富士山頂を極めたい気もするが、現在の私の体力ではあきらめざるを得ない。ここは、美女同様、遠くから眺めるほうが、私の性にあっているようである。

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