*** 2004年5月1日 工石山(くいしやま) ***

1.三辻山 2.工石山登山口 3.登山道の
山躑躅1
4.登山道の
山躑躅2
5.四人の美女
と躑躅1
6.道端のスミレ1 7.道端のスミレ2 8.道端の白い花
(ニガチゴ)
9.躑躅1 10.躑躅2
11.躑躅3 12.躑躅4 13.躑躅5 14.躑躅6 15.アケビの花
16.山道 17.露出した巨石 18.新緑の木々 19.東南の山 20.倒木
21.石楠花1 22.石楠花2 23.石楠花の蕾 24.白い花
(ミヤマシキミ)
25.赤い実
(ミヤマシキミ)
26.工石山山頂
にて
27.アケボノ
ツツジ1
28.アケボノ
ツツジ2
29.四人の美女2 30.四人の美女3


 5月2日(日)、高知市北方に聳える工石山(1176m)に日本語のK先生,今春入学の博士課程女子留学生Sさん(中国青海省
・西寧市出身),C,Mさん(中国遼寧省・瀋陽市出身)と共に挑戦する。この山は、高知市を背に屏風のように連なる山塊の
最高峰であり、丁度六甲山(931m)と神戸市の地理関係に類似している。また都市に比較的近いにも拘らず、豊かな自然が
残ることから、ファミリー登山の人気コースでもある。特に4月下旬から5月後半にかけては、躑躅や石楠花の花を求め
て、多くの花見客が訪れる。
 9時に女子寮近くで留学生をピックアップし、高知駅前でK先生と合流後、県道16号線を登山口である赤良木トンネル
へと向かう。山岳道路を進むうちに、Cさんが車酔いのせいで気分が悪くなり、何回か休憩しながら進む。11時前に、
登山口(約840m)に到着するが、本日はゴールデンウイークのせいで、駐車場は満杯である。仕方がないので、林道の先
の空地に駐車する。ここから北東を眺めると、三辻山(1108m)と思しき山が聳えている。山腹には、白い巨石がむき出し
になっており、四国カルストの特徴が見て取れる。
 登山口まで少し戻り、比較的なだらかな山道を進むと、斜面に山躑躅の花が見られるようになる。ただ満開には少し
早いようで、多くの蕾が開花をじっと待っている様に見える。この山躑躅の撮影に熱中している間に、皆に遅れを取っ
てしまい、急いで後を追うと、突然留学生の歓声が聞こえてくる。近付くと、目の覚めるような躑躅の群落が目に留ま
る。先程の山躑躅より小ぶりであるが、此方は略満開である。亜熱帯に咲くブーゲンビリアにも似た、実に艶やかな色
彩である。風が治まるのを待って、標準ズーム及び望遠で何枚か撮影する。何れも開放による撮影であるが、短焦点望
遠レンズの方がシャープな気がする。またデジカメも進歩したもので、この艶やかな赤を見事に再現している。
 小休止後、見晴らしの良い南回りコースを進む。暫く歩むと急に視界が開け、艶やかな新緑の木々が目に写る。ここ
でも、留学生が歓声を上げている。中国は赤茶けた禿山が多く、鮮やかな新緑の山々が驚嘆に値するのであろう。更に
木々に混じって、石灰岩と思しき巨石も垣間見える。
  此処で脇道にそれて、四国カルストについて考察する。起源は約2億年前の中生代・白亜紀に遡る。当時の海底の堆
積物が隆起し、現在の1000〜2000mの山々を構成している。K先生の話では、この辺りには鍾乳洞や、石灰石採取場も有
るとのことなので、山全体が石灰石から出来ている模様である。留学生に2億年前の世界の話をしていると、偶然Mさん
が3cm程の巻貝を発見する。種類は不明だが、形からして海洋性のようである。所で話は変わるが、一昨年の夏に訪れた
オーストリアのMt.Loser(1838m)も、山全体が石灰岩から出来ており、中腹には典型的なカルスト台地が見られる。一方
この周辺の2000m級の山々も、中生代の地中海海底が造山運動により隆起したもので、10数年前に訪れた際にも、山頂近く
で巻貝を見つけたことが有る。この経験に照らしてみても、今回の巻貝が2億年前の物に思えてくるが、真偽の程は別に
して、壮大な地球の歴史ロマンとして留め置きたい。尚、Mt.Loserに興味のある方は、2002年7月13日版を参照願いた
い。
 本道に戻り更に進むと、面白い形をした風倒木が目に留まる。ローアングルで撮影していると、先を行くK先生から
石楠花の花を発見したとの知らせが入る。見上げると、5mメート程上方に一輪だけ咲いているが、中々趣のある花で
ある。早速望遠レンズ(480mm相当)に交換して、順光及び逆光で撮影する。
 更に5分程下ると、"賽の河原"と呼ばれる渓流に辿り着く。此処は高知市内を流れる鏡川の源流にあたり、サンショ
ウオの生息地として有名である。ただ、道沿いから見た限りでは、それらしき生物は見られない。すれ違った登山客に
聞いた所、数年前に見かけたとのことである。
 この辺りからやや傾斜がきつくなり、汗が滴り落ちる。山道の両脇には石楠花の群落が続き、満開時はさぞかし見事
な光景になると思われるが、今は蕾が数輪見られるのみである。
 午後1時半頃、やっと工石山山頂に到着すると、"賽の河原"で追い抜かれた親子連れが、ベンチで休息している。
男の子から、"遅かったね。僕達これから下る所だよ"と言われ、返す言葉が見つからない。別れ際に、お父さんに我々
の記念撮影をお願いする。その後、遅い昼食を摂っていると、斜面からガスが舞い上がってくる。留学生はこのような
光景は初めての模様で、スモッグではないかと怖気づいている。冗談はさて置き、この視界では北回りコースを進むの
は危険なので、アケボノツツジを撮影後、元来た道を下ることにする。
 今回はK先生及び3人の留学生とともに、四国百名山の一つである工石山を訪れた。美しい躑躅や石楠花にも出会え、
身も心もリフレッシュできた。機会があれば、留学生と共にこの山に再挑戦したい。

総歩数:約18,800歩
登りの厳しさ:★

(追記:下り始めたところ、愛用のステッキが無いことに気づく。多分、撮影中にに何処かに置き忘れたものと、諦め
かけていたところ、留学生が賽の河原の休憩所で発見してくれる。留学生に感謝するとともに、今後彼女等の研究が
軌道に乗ることを切に祈る。)

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