風日誌

冬鳥たち/ラヴェルとエネスコ


2005.2.05.

 

・児島湖/阿部池/ユリカモメ
・ラヴェルとエネスコ
・フランス音楽の感覚的開放性
 
今日はひさしぶりに鳥の観察をと、
岡山の南にある児島湾の周辺に出かける。
yuccaがしらべたところでは、
阿部池というところで冬鳥が観察できるという。
 
むかし岡山県の南部一帯は「吉備の穴海」と呼ばれる海で、
そこが400年にわたる干拓で、
約2万ヘクタールが美田に生まれ変わり、
防波堤をつくることで「児島湖」が誕生し
それが農業用水として使われるようになった、
という内容が看板に書かれていたが、
そこに冬鳥が渡ってくるわけである。
 
いろんな種類のカモたちも見られ、
ひさしぶりに以前宍道湖で観察したことのある
キンクロハジロたちも目にすることができた。
おもしろかったのはユリカモメのみなさんたち。
人になれているようで、かなり近づいても逃げない。
ずらりとならんでこちらを見ている姿のなんと愛嬌のあること。
 
先日、新聞のシリーズ広告でつくっている
岡山県の自然環境保護をテーマとした紙面で
岡山県の西南にある笠岡湾の干拓地をとりあげたところだけれど、
ここには猛禽類などもよく集まっているらしい。
こんどはここにもちゃんと出かけてみたいと思う。
なかなか見られないチュウヒなども観察できるかもしれない。
 
さて、今日の音楽は、
ラヴェルとエネスコのヴァイオリンソナタなどが収めれた
とても新鮮な感覚のアルバム。
カヴァコスというヴァイオリニストのECMデビュー盤。
 
□ラヴェル:ヴァイオリンソナタ(遺作)/ツィガーヌ
 エネスコ:幼き頃の印象/ヴァイオリンソナタ第3番
 レオニダス・カヴァコス(ヴァイオリン)
 ペーテル・ナジ(ピアノ)
 ECM NEW SERIES UCCE-2032   2003.10.13発売
 
ECMからはほかではちょっとききにくいような
おもしろい企画のCDが発売されているが
これはパリ音楽院のフォーレのクラスでともに学び
親交を深めていたというラヴェルとエネスコの
ヴァイオリンとピアノのための作品を集めたもの。
 
これを聞いてみようと思ったきっかけは、
フランスものがダメというシュニトケのことばから、
逆に、フランスものが聞きたくなったため。
 
ぼくはクラシック関係のジャンルを聞き始めたのは
比較的後になってからなのだけれど、
そのなかでいちばん最初にいいなと思ったのはドビュッシーだった。
武満徹もドビュッシーの影響を深く受けているらしいが、
同時にバッハのマタイなどを好んできいていたように
その両者の影響がともに大きかったようである。
 
フランスものというのはとても感覚的なものが多く、
それがうまく表現されたものというのは
聞いていて感覚が不思議に解放されていくような感じになる。
ときに、こちらの感覚魂が悲鳴をあげているようなとき、
ある種の繊細な感覚性を満足させたいというときがあるが、
そんなときに聞くフランスものというのはほんとうに
渇いたのどが潤されていくようである。
鳥などの観察にでかけて味わえる開放感とも似ているところがある。
そういえばメシアンに鳥の声をモチーフとした音楽があった。
 
こうした透明感のある繊細なフランスものというのは、
魂の感覚的な凝りにとても効果があるようで、
世界が色彩を取り戻したような、そんな感覚を味わうことができる。
 
 

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