風日誌

没後80年富岡鉄斎展/柴田南雄『ふるべゆらゆら』


2005.1.30.

 

・没後80年富岡鉄斎展(新見美術館)
・toposHPのトップ画像変更
・柴田南雄『ふるべゆらゆら』
 
岡山県新見市の新見美術館で
没後80年を記念した「富岡鉄斎展」が開催されている。
昨年の暮れから2月までの開催ということで、
yuccaと、行かなくてはと毎週のように言いながら、
結局今日ようやく行くことができた。
 
今回展示されているのは、全部で57点。
これまでにも見たことのある作品もいつくかあったが、
やはりまとまって実物を見るというのはいいものだ。
少し残念なのは書かれてある「書」が
なかなか、というかほとんど読めないところだ。
書簡なども展示されていたが、情けないことにほとんど判読できない。
没後80年ということだが(そういえばシュタイナーとおなじくらいだ)
その時代から今までのあいだに、
ずいぶん時代の変化があったことを実感する。
 
さて、トポスのホームページのトップの絵柄を
1月のはじめに新しくしたが、そのとき
これから毎月変えていきたいと思っていたので、
先ほどそれを思い出して、最初くらいは履行しなければと、
思い浮かんだものをちょいちょいっと形にしてみた。
自分でもなんだか半分わからないけれど、イメージとしては、
今年に入って、なんだかぼくにとっても
急激な変化の流れに入ったような感じがしていて、
そのときにときに魂のなかで起こる戦いのようなものを形にしてみた、
というところだが、描いてみるとそうも見えないような・・・。
まあ前回よりは少し動きをつけてみた感じだろうか。
さて、1ヶ月後の更新はあるだろうか、乞うご期待。
 
今日の音楽は、柴田南雄の『ふるべゆらゆら』(no.61,1979)
1982年9月24日、「サントリー音楽賞受賞記念コンサート」からのライブ録音。
fontecから発売されている同名のCDに収められている。
 
この作品は、さまざまな日本語の多様な表現が試みられた作品で、
その最初に、奈良の天理にある石上神宮の祓詞(はらえことば)、
布瑠部の神業(かむわざ)、そして十種祓詞(とくさのはらえことば)、
十種神宝大御名(とくさのかんだからのおおみな)が収められている。
 
富岡鉄斎は、石上神宮の宮司だったことがあることから、これを選んだ。
石上神宮に以前でかけたときに、その清々しさに驚いたことがある。
その十種神宝大御名は、知る人ぞ知るもので、
「おきつかがみ へつかがみ・・・」ではじまり、
「ふるべゆらゆらとふるべ」で終わる。
 
この作品には、このほかに、
吉増剛造の「地獄のスケッチブック」という詩や
東大寺のお水とりの声明、
奄美の加計呂麻島の民話の語りと民謡、
ボードレールの詩「秋の歌」、などなどが、
素材として使われている。
 
そういえば、以前、こうした現代音楽をよくきいていたことがある。
とにかくそれまできいたことのなかった音をききたかったのだ。
その後、それほど頻繁にはきかなくなっていたのだけれど、
最近になってあらためておりにふれてきいてみたいと思うようになった。
これはそのときにたまたまそのタイトルに興味をひかれてきいてみたもの。
 
日常が日常のなかで自壊しそうなときには
こういう感覚のポジションに身を置いてみるということが、
ある種の力を持ち得ることがある。
言葉も日常化しすぎるとそれは私たちをロボットにさせてゆく。
ときに日本語そのものを異化してみるということも必要なのだ。
 
 

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