風日誌

小沢昭一/放浪芸/広沢瓢右衛門


2005.1.26.

 

・「日本の放浪芸」
・小沢昭一と宮本常一と網野善彦
・声の魅力へ
・広沢瓢右衛門・浪花節「雪月花三人娘」
 
このところ30年前の小沢昭一の「日本の放浪芸」関係の録音を
あれこれききながらいろんなことを考えたりしているのだけれど、
周防の猿回しのところでは、宮本常一とリンクしていたり、
網野善彦との対談もあったりして、
そこで陰陽師と万歳の関係などが示唆されていたり、
いろんなことがつながってくるのは何となくうれしいものだ。
 
「説教」と芸能の関係もなかなかおもしろく、
その関係についての関山和夫の研究にも興味をひかれてはじめている。
小沢昭一が、声明、つまりお経の節を説教に加味してフシになった
「節談説教」をまねして演じている録音などもあり、
「芸人」小沢昭一の熱い思いに感動しっぱなしである。
 
たしかに最近の日本語は、30年前の小沢昭一も語っているように、
だんだんと平板な感じになってきていて、まことに芸がなくなっている。
魅力的な語りや鍛えられた声というのがどんどんなくなってきているのがわかる。
そういえば、声優だけをとってみても、かつての世代の
個性的な声をもった方々のような方も少なくなって、
だれもかれも似たような機械的な感じになってきていてつまらない。
 
だからこそ、鍛えられた魅力的な声に出会えると
こんなにうれしいことはない。
 
さて、今日の音楽は、いや音は、浪花節。
 
悪声を自称する広沢瓢右衛門の「雪月花三人娘」。
これも小沢昭一による「日本の放浪芸大会」3枚組のCDの3枚目に
収められている抱腹絶倒の浪曲。
インタビューもこの上なくおもしろい。
 
この広沢瓢右衛門は、浪花節ではこの人を抜きには語れない
広沢虎造の兄弟子だったらしいが、すぐに追い越されたという。
たしかに広沢虎造の声は超一流であるが、
広沢瓢右衛門の個性もやはりここまでくると超一流だと思う。
 
ちょうど、一昨日の新聞に、タイムリー?に、
広沢虎造の生誕百年を記念して発売されたという
「清水次郎長伝」の全800分、CD16枚組の広告がのっていた。
寿司食いねえ!の森の石松もでてくるあれである。
かなりきいてみたくなってきているが、
こういうのをききはじめると、いくら時間があっても足らなくなる。
先日来ずっと毎日聞き続けている「日本の放浪芸」シリーズも
もう全部で今のところだけでもCD15枚分の「芸」を聞いているが、
ぜんぜん飽きないどころか、次から次へと興味津々になってくる。
これも、やはり最近の「声」や「音」への不満ゆえなのかもしれない。
 
 

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