風日誌

冬のたのしみ/『アルフォンシーナと海』


2005.1.18.

 

・冬のたのしみ
・お布団のなかのしあわせ
・覚醒と色彩の萌芽
・つのだたかし&波多野睦美『アルフォンシーナと海』
 
枕草子では、「冬はつとめて」だけれど、
やはり冬の朝、起き出すのはつらい。
ただでさえ鬱な気分にさらに粘液質的なところが加わって、
お布団のなかからでられなくなってしまう。
お布団のなかのしあわせは冬の楽しみのひとつだけれど、
そこから出るというのはそのぶんとてもつらいことなのだ。
 
しかしそんな冬だからこそ
じっと耳をすませているような
そんな注意深さも可能になるというところがある。
暑い夏にはじっと考えたり感じ取ったりすることはできず
ある意味でぼんやりとした夢のような感じで過ごさざるをえないのに対して、
いろいろなものが鮮明になってくるところがある。
枯れ木立さえ木の葉はなくその骨格が見えているように。
しかしすでにその枯れ枝には芽吹こうとする確かな気配がある。
梅の枝はすでに紅を静かにたたえている・・・。
 
冬生まれのぼくには、そんな季節が近しい。
原色のけばけばしさよりも、
静かに色彩を予感させる気配のようなものがうれしい。
 
そんな冬の日々のなかで、聴く音楽は、
たとえば、つのだたかしと波多野睦美の『アルフォンシーナと海』。
その静かな響きのなかに包まれて、
その静けさにひそかにたたえられている官能をききとる。
そんな贅沢な楽しみ・・・。
 
 

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