風日誌

ユリイカ/大津波/タン・ドゥン『新マタイ受難曲』


2005.1.10.

 

・青山真治監督『ユリイカ』
・大津波がきている
・タン・ドゥン『新マタイ受難曲ーー永遠の水』
・水の隠喩
 
昨年から台風に地震、そして地震による津波と
地球が少し変調しただけでこれだけの被害になることを
あらためてのように驚いている。
 
津波が起こったというニュースを知って、
まっさきに思い浮かべたのは、青山真治監督の映画『ユリイカ』だった。
「大津波がくる」という印象的な言葉……。
まさに「大津波」が押し寄せた。
 
この「大津波」はおそらく現代において、
さまざまなところでさまざまな形で押し寄せているのかもしれない。
もちろん私たちの心の奥にも。
 
アメリカからは「正義」という名の大津波が押し寄せ、
テロリズムという大津波もまた戦争の裏面として押し寄せている。
心の闇もまた、暗い波となってひたひたと押し寄せている。
 
そんなときいった何をどうすればよいのか。
それに対する明確な答えはおそらくないのかもしれないが、
その「問い」を持ち続けることは重要なことのような気がしている。
 
動物を見て危険を察知してそこから道を見いだすような
そんな方法もあるかもしれないし、
みずからが受けた大津波に飲まれて死を選ばざるをえなくても、
その死に際して死から逃げないということも重要なのかもしれない。
また被災したひとたちへの支援を行うということも。
 
とにかく、「大津波」は確実にきているのだとしたら、
自分なりの「ノアの箱船」を見いだしていく作業が
これからは必要なのだ。
さてその「箱船」には何を乗せることにしよう。
それはみずからの魂の深みにおいて
もっとも信頼できる何者かである必要があるだろう。
 
今日の音楽は、タン・ドゥンの『新マタイ受難曲ーー永遠の水』。
バッハ没後250年を記念して、
ドイツのシュトゥットガルト・バッハ・アカデミーが
新しい受難曲を現代作曲家に委嘱したものの1曲。
2000年9月、シュトゥットガルトで初演されたものが、
2002年10月にCD2枚組で発売されている。
 
「永遠の水」とあるように、
タン・ドゥンみずから考案したという
「ウォーターパーカッション」も使われている。
水の音ではじまり水の音で終わる作品。
 
「非常に多くの文化圏が水を重要な隠喩として用いている。ーー
例えば洗礼の象徴として、又は誕生や創造、再創造を連想させるのだ」
(タン・ドゥン)
 

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