風のメモランダム

霊学書の読み方についてなど


2005.8.27.Sat.

 

■霊学書の読み方について
 
筑摩書房からでている高橋巌訳「シュタイナー・コレクション」全7巻を
このところ一冊ずつ再読しているところなのだが、
こうした深い内容の連続講義をまとまったかたちで刊行されているのはうれしい。
ある意味で、基本的な著作以外でシュタイナーの何を読んだらいいかときかれたら
今だと、やはりこのシリーズがいいだろうなと思う。
 
シュタイナーはこうした神秘学の本を読むときには、
他の種類の本を読むときとは異なった態度をとらないと
神秘学の本を読んでいるとはいえないということを言っている。
つまり、単なる知識を得るためのものではなく、
それを魂に作用させて自分を変容させるためのものだというわけである。
 
	霊学書を理解しようとするときの困難は、人びとがそれを他の書物と
	同じように読み、他の書物と同じように内容を受け取ることができる、
	と思っていることなのです。しかし、真にオカルト的な書物を本当に
	理解したときには、何かがその読者の中で変化するに違いないのです。
 
まして、レジュメや用語解説やノウハウ本などで理解できるはずはない。
 
■芸術新潮9月号/特集・写真よ、語れ!
 
この芸術新潮は毎月読んでいるわけではないが
ときどき興味深い特集があるので読んでいる。
今回は「写真」がテーマである。
東京都写真美術館 開館10周年記念特別展
「写真はものの見方をどのように変えてきたか」に際して
企画されたこういう特集。
 
	写真が誕生してから150年あまり この間に人類が残してきた膨大
	な作品から、世界を旅する写真家が意を決して40点あまりを厳選し
	ました 19世紀のヒル&アダムソンから超絶技巧のデジタルフォト
	まで、六つのキーワードをもとに語りおろす、とびきり新しい写真の
	読み方
 
語りおろすのは「港千尋」である。
 
この150年というのは、写真が象徴しているように、
「現実」へのとらえかたそのものが問い直されていく歴史だったといえるのか 
もしれない。
シュタイナーが生まれたのは、その写真が生まれた後くらいの時代で、
時代はますます唯物論的な傾斜を強めながら、
むしろその裏面でも霊的な暗黒の側面をも強めていった時代だともいえる。
 
よくいわれることだが、写真は現実をそのまま写しているのではない。
それは、風景画などを写真のようにきれいに描けていると評するようなものである。
つまり、写真は現実を見、かつ創るための手法なのだ。
だから、「写真」は語る。
 
■comic新現実Vol.6/特集 孤高・あすなひろし
 
当初からの予定通り、comic新現実がこのVol.6で終わる。
そしてその特集は、あの「あすなひろし」。
 
「あすなひろし」の漫画については以前、
「ブックマーク」でもふれたことがあると思うが、
今回知ってびっくりしたのは、あすなひろしは
「私的なトラブルに伴い東京を離れ、広島に帰り」、
2001年3月に肺ガンで亡くなっていることであった。
2001年3月といえば、ぼくは広島にいた!
ちょっとした感慨が胸をよぎる。
 
さて、吾妻ひでおの「地を這う魚」「うつうつひでお日記」も
今回もしっかり掲載されているが、少し心配した今後の連載も
大塚英志が引き続き編集する「新雑誌」、そして「コンプエース」で
継続されることになるらしい。
しかし、吾妻ひでおの「うつうつ」を読むと、
それだけでもぼくの「うつ」がどこか癒されるというか、
「そうかあ、うつでも何とか生きていけるんだあ!」と
不思議な共感に満たされてしまう。
「うつ」のわからない人には、この感覚、
おそらくわからないところがあるのかもしれないが…。
 
 

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