*** 2012年4月19日 茨城県桜川市の山桜 ***

1.タチツボスミレ1 2.タチツボスミレ1 3.ノイチゴ1
(クサイチゴ)
4.ノイチゴ2
(クサイチゴ)
5.キランソウ 6.池亀の里1 7.池亀の里2 8.五大力堂1 9.五大力堂2 10.山桜1
11.ナノハナ
(池亀)
12.シバザクラ1
(池亀)
13.シバザクラ2
(池亀)
14.シバザクラ3
(池亀)
15.シバザクラ4
(池亀)
16.源平梅1
(池亀)
17.源平梅2
(池亀)
18.源平梅3
(池亀)
19.諸葛采
(池亀)
20.紅梅
(池亀)
21.池亀の里3 22.池亀の里4 23.高峰の山桜1
(池亀)
24.高峰の山桜2
(池亀)
25.高峰の山桜3
(池亀)
26.高峰の山桜4
(池亀)
27.高峰の山桜5
(池亀)
28.高峰の山桜6
(池亀)
29.高峰の山桜7
(池亀)
30.高峰の山桜8
(池亀)
31.高峰の山桜と
梨の花
32.高峰の山桜9 33.大山さん
(高峰登山口)
34.平沢の里1 35.平沢の里2 36.平沢の里3 37.平沢の里4 38.平沢の里5 39.平沢の里6 40.平沢の里7
41.平沢の山桜1 42.平沢の山桜2 43.平沢の山桜3 44.平沢の山桜4 45.高峰の山桜10
(平沢)
46.高峰の山桜11
(平沢)
47.高峰の山桜12
(平沢)
48.高峰の山桜13
(平沢)
49.高峰の山桜14
(平沢)
50.高峰の山桜15
(平沢)
51.磯部桜川公園 52.ピンクの山桜1
(磯部桜川公園)
53.ピンクの山桜2
(磯部桜川公園)
54.ピンクの山桜3
(磯部桜川公園)
55.ピンクの山桜4
(磯部桜川公園)
56.枝垂れ山桜
(磯部桜川公園)
57.のぼり1
(磯部桜川公園)
58.白の山桜1
(磯部桜川公園)
59.白の山桜2
(磯部桜川公園)
60.白の山桜3
(磯部桜川公園)
61.白の山桜4
(磯部桜川公園)
62.カキドオシ
(磯部桜川公園)
63.3白の山桜5
(磯部桜川公園)
64.3白の山桜6
(磯部桜川公園)
65.のぼり2
(磯部桜川公園)
66.桜川
磯部稲村神社1
67.桜川
磯部稲村神社2
68.桜川
磯部稲村神社3
69.細道
(神社傍)
70.ヤマブキ
(神社傍)
71.白の山桜7
(神社傍)
72.白の山桜8
(神社傍)
73.白の山桜9
(神社傍)
74.白の山桜10
(神社傍)
75.白の山桜11
(神社傍)
76.白の山桜12
(神社傍)
77.白の山桜13
(神社傍)
78.シバザクラ5
(神社傍)
79.シバザクラ6
(神社傍)
80.シバザクラ7
(神社傍)
81.桜吹雪
(神社傍)
82.ピンクの山桜5
(神社傍)
83.ピンクの山桜6
(神社傍)
84.ピンクの山桜7
(神社傍)
85.ピンクの山桜8
(神社傍)
86.ピンクの山桜9
(神社傍)
87.ピンクの山桜10
(神社傍)
88.ピンクの山桜11
(神社傍)
89.ピンクの山桜12
(神社傍)
90.ピンクの山桜13
(神社傍)

 4月18日(水)朝、偶々NHKにチャンネルを合わせたところ、桜川市岩瀬地区の見事な山桜を放映している。何でも、山全体を山桜が覆い、西の吉野にも匹敵する規模だとか。永年この季節が訪れるたびに、吉野の山桜を写真に収めたくなるが、比較的近場にこれに匹敵する場所があるとは、何ともラッキーである。そこで、この付近に詳しい大山さんに、メールで問い合わせたところ、吉野に匹敵するか否かは兎も角、急遽翌19日(木)に一緒に写真撮影に出かけることになる。所で、ある庭師の方が、テレビのインタビューで「"ソメイヨシノ"は皆同じで、面白くない。」と仰っていたが、正に同感である。また、葉より花が先に開く"ソメイヨシノ"より、赤芽と白花が同時に出る"山桜"の方が余程自然で、森の緑とも旨くマッチしている。何れにしても、大山さんの絶大な御協力により、永年の夢が実現することになる。
 7:40、ナビをセットし、落ち合い場所の笠間PAに向かう。距離にして約140q、首都圏の高速道路の渋滞を考慮すると、約3時間半というところか。だが、途中で渋滞に巻き込まれることも殆どなく、僅か約2時間半で現地に到着する。早速大山さんに連絡すると、今家を出たばかりとか。そこで、軽く蕎麦でも食べて時間をつぶそうと思ったが、PA内にはうどんしかやっていない。関西生まれの私としては、醤油味のうどんなど、食えた代物ではないので、チラシ等を見て近隣の情報収集をする。そうこうする内に、大山さんが到着する。見れば、周辺のガイドブック他、多くの資料を携えている。流石に用意周到且つ親切な大山さんである。相談の結果、一先ず私の車を磯部桜川公園に駐車し、大山さんの車で、"池亀"の里を目指すことになる。田園地帯を抜け山道に入ると、車一台がやっと通れる道幅になったため、高峰(標高520m)の登山口に駐車し、ここから徒歩で"池亀"に向かう。道端の野花を撮りつつ20分程下ると、谷間から"池亀"と思しき集落が垣間見える。更に下ると、古いお堂が現れるが、石段は左右に傾斜しており、東日本大震災の影響が見受けられる。傍の看板には、「平将門の乱"に際し、藤原秀郷が将門討伐を祈願して霊像五体を安置した。云々」とあり、当時のままとすれば、国宝級の文化遺産であろう。堂内を覗くと、真黒な仏像一体が確認出来るが、残り四体は何処に消えたのであろうか。ただ、道を急ぐので、これ以上は詮索しないことにする。そうこうするうちに、"池亀"の民家が現れる。家の庭先には、艶やかな芝桜が満開で、長閑な雰囲気を醸し出している。緩やかな坂道を下って行くと、加波山(かばさん)が眼前に迫るが、残念ながら、その山麓には山桜は殆ど見られない。そこで引き返そうと振り返ると、高峰の山麓に、見事な山桜が雲海のように広がっている。正に、灯台もと暗しというところか。420oに交換すると、真っ白な山桜に交じって、ピンクの花や赤芽も確認できる。一方吉野の山桜は、八世紀の平城京遷都以来、永年に渡って植樹され、約37ha(約6km×6km)の狭い範囲内に、合わせて約四万本が密生しているとか。それに対し、桜川市のそれは自生であり、広大な周辺の山々に旨く溶け込んでいる。やはり、人工的な美より自然が何よりである。ここから元来た道を戻り、車で磯部桜川公園に向かっていると、長閑な田園地帯が現れる。道標には"平沢"とあり、背後の山には見事な山桜が確認できる。どうやら、先程の"池亀"が高峰の東端とすると、ここはその西端に当たるようである。ここで暫し撮影に熱中したあと、磯部桜川公園を目指す。この公園内の桜も、殆どが純白の山桜であるが、中には園芸種と思しき、ピンクの"関山"(かんざん)や白色の"枝垂れ山桜"も見受けられる。
 公園を通り抜け大通りに出ると、正面に桜川磯部稲村神社が現れる。社内には、多くの山桜が見られ、内11種が天然記念物に指定されているとか。鳥居の傍には、何と"紀貫之"の歌の石碑まであり、そこには「つねよりも 春べになればさくら川 波の花こそ まなくよすらめ」と彫られている。この中の"桜川"はこの地を指し、平安の昔から、東国の桜の名所として、西国にも知れ渡っていたとか。所で、大山さんは"紀貫之"自身が、実際にこの地を訪れたと仰っているが、私にはどう考えても無理に思える。なぜなら、"紀貫之"はれっきとした平安朝の役人であり、嘗ての蝦夷地を訪問する役目も余裕も無かった筈である。現に京を離れたのは、土佐の国司として赴任した5年間であり、帰京の際の55日間の出来事を纏めたのが、かの有名な"土佐日記"である。私自身も、高知工科大在職時に、二十九番札所"国分寺"近くにある"紀貫之旧邸宅跡"を何度か訪問したことがあるが、彼が当時この地を生活の拠点としていたのは、先ず間違いなかろう。私も、まさか北関東で、"紀貫之"伝説を耳にするとは思ってもみなかったが、近世の人間がこの歌の中に"桜川"を見つけ、町興しのために、彼の名を引用したのが実体ではなかろうか。少々横道に逸れたが、祭殿前で記帳していたところ、宮司の方が近寄ってこられ、何と無料でお祓いをして下さる。これが、数時間後に思わぬ幸運をもたらすことになる。
 神社を出ると、道端の桜並木から真っ白な桜吹雪が舞い落ちてくる。改めて、花をチェックしたところ、やはり山桜である。ここで桜の撮影に夢中になっていると、自転車で帰宅中の中学生から、「こんにちわ」と声を掛けられる。実に爽やかであり、こちらも撮影を中断して、挨拶を返す。大山さんも、中学生の見知らぬ人に対する配慮に甚く感心している。所で、昨日も東急日吉駅で、某有名私大生が「肩が当たった」と因縁をつけ、相手に全治5日の怪我を負わす事件があったばかりであるが、犯人は更に「政治家を知っている」,「金を払えばいいだろ」等と凄み、警察の調べにも応じなかったため、逮捕されたとか。ちっぽけなエリート意識丸出しで、見知らぬ相手に対して、ヤクザまがいの態度にでる学生など、即刻除籍にすべきである。亡き福沢諭吉翁も、私と同感ではなかろうか。山桜を撮り終え、ふと回りを見渡すと、艶やかな芝桜が目に留まる。近づくと、花も大きく密生しており、家人の花に対する細やかな愛情を窺い知ることが出来る。ここから遥か東方に望めるのは、雨巻山(あままきさん)であろうか。この山にも、多くの山桜が点在している。このように、岩瀬地区には、吉野とは比べ物にならない位、広域に渡って山桜が分布しており、世界に誇るべき自然遺産であると言える。ここから、駐車場に戻り掛けたところ、神社の駐車場前で、濃いピンクの山桜が風に揺れている。祭事に訪れたと思しき人々も、名前が気になるとみえて噂し合っているが、誰も花の名を特定できない。私自身も、何処かで見かけたような気もするが、中々名前が思い浮かばない。だが、撮影後の写真を改めて眺めている内に、何と室蘭でよく見かけた"エゾヤマザクラ"と気付く。道理で、この地域の人々には、馴染みがない訳である。
何れにしても、北関東の地で、嘗ての赴任先である高知の文化や室蘭の自然に接するのも、何かの不思議な巡り合わせであろう。満ち足りた気分で、駐車場へと急ぐ。
 今回は山桜の絶景を求めて、急遽大山さんと共に桜川市岩瀬地区を訪問した。美しい自然だけでなく、若人の温かい人柄にも接し、心が洗われる思いであった。機会があれば、近くの笠間町の歴史も探訪してみたい。

総歩数:8386歩 

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