91〜100


風遊戯91●虎よ虎

 

虎よ虎

私の喉笛を襲うか

私の虎よ

 

おまえを飼い慣らそうと

どれほどの時が流れたことか

荒れ狂うおまえの前で

私は幾度死にかけたことか

私が命を落とせばおまえも

もはや生きることはできないのだが

 

虎よ虎

私にはおまえが必要なのだ

私の虎よ

 

この地上を疾駆するためには

おまえのその力を借りなければならない

だがそこに油断があった

おまえは私になりかわろうとしたのだ

 

虎よ虎

私を食らうがいい

私の虎よ

 

だが私の真実はおまえのものではない

おまえは私の真実に仕えることでしか

おまえの真実を見いだせないことを知るがいい

おまえは虎であって虎ではない

真実の鏡に照らされたおまえの姿を見るがいい

 

虎よ虎

私の真実とともにあれ

私の虎よ

 

おまえを奴隷にするつもりなどない

おまえは自由とともにありそこに障げなどない

だがおまえの自由は私の真実とともに生きることだ

そうすることでおまえの可能性の種が蒔かれる

そして芽吹き育ち花咲き実りを迎える

 

虎よ虎

私と行こうではないか

私の虎よ

 

急ぎすぎないことだ

待つことが必要なのだ

真実の光を受けて実りを待つことが

 

ときには私の喉笛を狙うおまえだが

そんなおまえとともに歩もう

おまえの力とともにこの地を歩もう

 


風遊戯92●自由のために

 

癒すでもなく責めるでもなく

今ある自分とともにいよう

誇るでもなく拉がれるでもなく

今ある自分とともにいよう

 

悲しさ情けなさとともに

嬉しさ優越感とともにありながら

そこから自由である自分を見つけよう

 

私はいつもここにいるが

ここにいたためしがない

自由にならなければ

ここにいることはできないからだ

いるのは過去の自分、未来の自分の影だけ

 

私は知識とともにいてその中にはいない

私は感情とともにいてその中にはいない

私は行動とともにいてその中にはいない

 

だから

どんなに途方に暮れても

その自分とともにいて

そこから自由でいよう

どんなに誇らしくあっても

その自分とともにいて

そこから自由でいよう

 


風遊戯93●素敵な毎日

 

君がわからなくなるときがあるけど

君のことならなんでもわかるような気がするときもある

そのどちらも君でどちらも君でなかったりする

たぶんそれは君とぼくとがいっしょにもっている不思議だ

その不思議の国に君とぼくがいる

なんて素敵じゃないか

 

自分がわからなくなるときがあるけど

自分のことならなんでもわかるような気がするときもある

そのどちらも自分でどちらも自分でなかったりする

たぶんそれはぼくがぼくであるということの不思議だ

その不思議のなかにぼくはこうして生きている

なんて素敵じゃないか

 

世界が存在することそのものが謎だと誰かが言ってた

もちろんそれはぼくが存在することそのものが謎なのとと同じだ

問うことはできるけどなかなか答えの見つからない謎があり

ぼくはときおりそうした謎のなかにいたりする

そんなときにふと思ったりするんだ

謎のある毎日ってとっても素敵じゃないかって

 


風遊戯94●祈り

 

天の思いが私を通して天に帰りますように

私の思いが天を通して私に帰りますように

 

あなたの思いが私を通してあなたに帰りますように

私の思いがあなたを通して私に返りますように

 


風遊戯95●祈り

 

一枚の木の葉の散ることさえ意味深くあるように

私のこの生も意味深くあることに気づきが深まりますように

 

種には、花咲き、稔る可能性が込められているように

私のこの生も花咲き、稔る可能性のあることに気づきが深まりますように

 

宇宙があらゆる存在のなかに照りはえているように

私のこの生にも宇宙がに照りはえていることに気づきが深まりますように

 


風遊戯96●空から雨が降り来たるように

 

空から雨が降り来たるように

私の魂もまた天より降り来たる

雨が地を流れやがて空に帰りゆくように

私の魂もまた天へと帰りゆく

 

ああ雨が地を潤すように

私も地を潤すことができれば

ああ雨が人の渇きを癒すように

私も人の渇きを癒すことができれば

 

けれど雨は時には洪水となり

地を人を飲み込むように

私も時にはあふれる激情に駆られて

地を人を巻き込むこともあるであろう

 

空を見上げれば

雨はためらいも見せずに落下し

天を見上げれば

私ははるかなその故郷から降下したことを思う

 

だが私よその降下は

ただ地にあるためでもなければ

天の故郷への帰還をめざすためでもない

天と地の間に私があるのは

そこに豊かさを生む循環のためなのだ

 


風遊戯97●光と闇について

 

光って

希望に満ちていそうだけど

よく考えてみたらいつも過去なんだな

光に照らされてる世界は

いつも少しだけ過去からやってくる

 

今という瞬間を

光のなかでみてるぼくらは

過去に生かされているのかもしれない

でもいつも過去にいるのでなくて

まだ光に照らされてない闇のなかにある

可能性の今を感じていたい

 

闇は怖いけど

そこにしか今はない

そこにしか未来の準備はない

手探りにしかならないけど

そのなかでなにかが

今生まれているのを感じること

そのことから始めたい

 

光のなかできらびやかに飛び交うものたちとではなく

闇のなかで秘めやかに語らっている者たちと

手探りのダンスをしようじゃないか

ぞくぞくするようなダンスをしようじゃないか

 

 


風遊戯98●夏が終わる

 

青い空の下を

静かに歩いている時間が

なぜか思い出をつれてくる

そんな夏の終わり

 

ぼくはぼくとして生まれ

きみはきみとして生まれたのだけれど

それがどういうことなのかを考えつづけたことが

ふとよみがえってくるような

そんな夏の終わり

 

はるか星の世界をみあげながら

かつてぼくは思ったんだ

ぼくはここにいて

きみはここにいて

けれどほんとうはどこにいるんだろうと

笑いながら

でもほんとうは真剣に

 

ぼくの顔があり

そしてからだがあって

きみの顔があり

そしてからだがあって

そのあいだに思い出があったりする

そんな夏の終わりに

 


風遊戯99●夜明け前

   

   夜の森に潜み

   夜の丘を駆ける者ら

   

   とぅるとぅった とぅるとぅった

   とぅるとぅった とぅるら

 

   聞こえないか

   夜のしじまを縫って

   風が運んでくれる

   かすかな歌声が

   

   とぅるとぅった とぅるとぅった

   とぅるとぅった とぅるら

 

   なつかしい歌声か

   それとも闇から紡がれた

   隠されたものを解き放つ呪文か

   

   とぅるとぅった とぅるとぅった

   とぅるとぅった とぅるら

 

   この闇は光にもまして

   秘密をかいま見せてくれはしないか

   では

   秘密とはいったい

   

   とぅるとぅった とぅるとぅった

   とぅるとぅった とぅるら

 

   かつて秘密は闇の奥に閉ざされた

   光が真実のものを伝えるには早すぎたのだ

   だが闇はその内から真なる光を生み始めた

   それは真珠のような痛みの果ての光

 

   とぅるとぅった とぅるとぅった

   とぅるとぅった とぅるら

 

   夜が明けようとするのか

   永遠のように繰り返し現われた幻の朝ではなく

   まるで夢の底から目覚めたように

   夜が明けようとしているのか

 

   とぅるとぅった とぅるとぅった

   とぅるとぅった とぅるら

 

   あれはもしや魔法の歌声

   かすかにけれど力強く

   木霊していく夜明けの歌声

   

   とぅるとぅった とぅるとぅった

   とぅるとぅった とぅるら

 

   呪縛が解けようとしているのか

   慈しみを悲しみに変え

   喜びを苦しみに変えた

   あの呪文の封印が解けようというのか

   

   とぅるとぅった とぅるとぅった

   とぅるとぅった とぅるら

   

   夜の森に潜み

   夜の丘を駆ける者らの

   ほんとうの姿が見えるか

   この夜明け間近の薄明のなかで

   

   とぅるとぅった とぅるとぅった

   とぅるとぅった とぅるら

   

   妖しやな

   愛しやな

   後ろの正面の

   秘密の顔が

   笑う

   


風遊戯100●神遊び

   

   そして 神が生まれる

   神はいつも生まれているけれど

   ほんのまれにしか気づかれない

   

   わたしは神

   そしてあなたも神

   星も花も風も

   猫たちもまた神

   

   神は無数にいて

   そしてたった一人

   無限で

   だからこそ有限にもなる

   

   気づくのも神

   気づかぬのもまた神

   神はいつもそうして遊んでいる

   

   神は喜び

   そして悲しみ

   みずからを励まし

   そしてみずからを苛める

   

   すべては一人で無数の役を引き受ける戯れ

   舞台の上で演じ

   観客席に座って喝采を送る

   

   神は父として現われ

   子として現われ

   聖霊として現われる

   

   その戯れのなかで

   永遠であり

   新しい可能性であるものが生まれる

   

   神はいつも生まれている

   けれど気づかれることはまれだ

   気づきと無明が戯れあい

   無限と有限が明滅する

   

   一人遊びの

   一人遊びによる

   すべてがさらに大いなるすべてになるための

   そんな劇場で

   

 


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