1〜10


風遊戯1●ひみつ

 

ひみつ みせて

ひとり だけの ひみつ

みせて

 

だって そっと こうして

あつく しなやかに はなす

もっと きっと やさしく

だめよ うそは きらい

 

ひみつ みせて

こおり ついた ひみつ

とかし 

 

かぜは みどりいろ?

みずは そらのいろ?

はなは こいのいろ?

こえは うちゅういろ?

 

ひみつ みせて

いつか みせて そっと

きっと

 

うんと とおい むかし

わかれた こいびとの はなし

かなしい こいびとの はなし

いつか また あえる はなし

 

ひみつ みせて

きみの ひみつ きっと

みせて

 

わすれないで

わたし いのる

いつまでも わたし いのる

ぎんいろの いと ほしに ながし

 

ひみつ みせて

ひとりだけの ひみつ

みせて

 


風遊戯2●たべちゃえ

 

たべちゃえ かみさま

おなか いっぱい たべちゃえ

 

うちゅう ぜんぶ たべちゃえ

おなかいっぱい たべちゃえ

 

ぼくは かみさまになって

ぼくは うちゅうになって

 

そうして めがでる

ぼくのおへそから めがでる

 

そうして どんどん おおきくなって

どんどん どんどん おおきくなって

 

ほうら はながさく

おおきな おおきな はながさく

 

それから やがて みがなって

おおきな おおきな みがなって

 

たべられちゃう たべられちゃう

ぼくの みが たべられちゃう

 

たべるのは きみ

じつは もうひとりの ぼく

 

ふえてゆくんだ ぼくときみ

ふえてゆくんだ たのしい うちゅう

 


風遊戯3●純粋な神さま

 

とっても純粋な神さまがいた。

純粋すぎたものだから、

純粋でない神さまは居心地が悪かった。

それにもっと具合が悪かったのは、

異質なものを受け入れることが

とってもむずかしかったことだ。

 

それを深く深く考え抜いた純粋な神さまは、

一度自分が身を引くことで、

新しい流れを創り出す可能性に賭けた。

それがいいことかわるいことかは、

わからないけれども、

純粋な神さまはやっぱり純粋に考えて、

あえてそういう決断をしたのだった。

 

喜んだのは純粋でない神さまたちだった。

邪魔ものがいなくなれば、我らが天下なのだ。

その結果、世の中は濁り続けた。

しかし、その濁りがあったために、

新しい種もまたそこに根づくことができたのも事実だった。

それは新しい可能性ではあったが、

うまくいくこともいかないこともある。

 

創造の可能性は広がったが、

その反面、破壊の可能性も大きくなった。

そこで、純粋な神さまはその純粋な思いから、

見かねて、もう一度立ち上がった。

驚いたのは純粋でない神さまと、

純粋でない神さましか知らない人間たちだった。

純粋でない神さまは、やれやれと思ったし、

わけのわからない人間たちは、

それを魔物だと思って身構えた。

 

純粋な神さまは半分後悔しているけれども、

やっぱり半分はそれでよかったと思っている。

でも、本心はちょっと悲しい気持ちなのだ。

これから起こるいろんなことを考えると、

気持ちは沈みがちになるけれど、

やるべきことはやらねばならない、

そう、純粋な気持ちで思っているのである。

 


風遊戯4●きっと あえる

 

ひとさしゆび

その かなたに ある

なつかしい くに

 

いつか そこで くらした

きみも そこで あいした

こころ あつく もえた

 

いつか あえる きっと

おもい だせる きっと

だって ふたり いきた

 

そらに ほしが ながれ

かわに ふねが のぼり

おかに はなを うえた

 

おもいださないか

あたたかい いき

しなやかな ゆび

 

こわがらないで

ここに おいで

きみに あえる きっと

 

かなたが むすび

いにしえが もどる

きみが ふたり かさなる

 

どちらも きみ

どちらも いま

きっと むすぶ はずさ

 

そらから ほしの おんがく

ららりら るるる ながれこむ

ふしぎ だけど しんじつさ

 

おもいだすのは かんたんさ

ひとさしゆびを こうやって

ゆめの さきまで のばすのさ

 

さあ ここに おいで

とうめいな きみなら

きっと あえる はずさ

 


風遊戯5●歌姫

 

歌姫が恋をした

おもいのたけを歌にして

月の光を縦糸に

星の光を横糸に

声を限りの恋の歌

 

歌姫が恋したのはお日さまで

あまりに明るいその光

月の糸に星の糸

声を限りに紡いでも

お日さまのもとに届かない

 

歌姫は悲しんだ

この思い届かぬならば

この声をいっそ殺してしまいたい

日に日に声は涸れてゆき

やがては歌えぬ時がきた

 

月はそれを悲しんで

日に日に痩せて衰えた

星もそれを悲しんで

銀の尾を引く涙のしずく

ともに歌姫なぐさめた

 

月の船に乗った歌姫は

星のしずくに身をゆだね

恋のおもいに身を焦がす

やがて涙も涸れはてて

歌姫いつしか眠りこむ

 

眠りの国のとびらの奥に

歌姫ひっそり身をゆだね

やがて見つける眠りの園に

真っ赤な薔薇の歌の精

歌姫いっしょに踊りだす

 

そして目がさめ歌姫は

おそれながらももう一度

歌いはじめておどろいた

声の光は七色に

輝きかなたに放たれた

 

お日さまやっぱり気づかない

歌姫の悲しい気持ちは変わらない

だけど輝くこの声に

月の光に星の糸

空は輝きとりもどす

 

空に輝く真紅の薔薇と

いっしょに踊る歌姫の

姿はいつもいつまでも

ふぁらら ふぁららら ふぁらるらら

とぅらら とぅららら とぅらるらら


風遊戯6●影のない女

 

影のない女がいた

太陽の影ではなく心の影だ

 

女は嘘がつけなかった

何事も本音でしか話せなかった

もちろん相手にも本音を要求した

だからだれもがやがて混乱した

仕方のないことだったのだ

 

女は多くの人から好かれていた

けれども女に近づかない人もやはりいた

近づくのがとてもこわかったのだ

 

女は男が苦手だった

女を追いかける男も多かったが

男たちはみな女に拒まれた

女には性としての男が耐えられなかった

それは女には影でしかなかったのだ

 

女の心には影がなかった

いや影を見るのがいやだったともいえる

女にとって影は嘘だったのだ

女にとって嘘は許せなかった

 

そこで矛盾が起こるのは当然だった

だから女に影ができるとき

女は影そのものにならざるをえなかった

しかし女は影を影でないものと見ることで

自分は影の反対のものであると思いこむことができた

 

女は影か影の反対のものとなった

どちらにしても女は本音で生き続けることができた

もちろん相手にもそれを要求するのを忘れなかった

そしてもちろん多くの人はますます混乱せざるをえなかった

 

しかし事は単純には終わらない

女にも影をみるべきときが訪れた

女は恋をしてしまったのだ

もちろん女は自分ではそれを恋とは思わなかった

だがそれは恋以外のなにものでもなかった

女は自分が許せなかった

女は恋が許せなかった

さらに始末の悪いことに男は複雑だった

つまり嘘が好きだったのだ

 

女は混乱した

影と影でないものとが入り乱れたからだ

だが女にとってそれを認めることは

なかなかに難しいことだった

女は鏡を見るたびごとに自分の影におびえた

鏡は影見でもあったのだ

 

影におびえる女がいた

だが女は次第に影を見はじめていた

影が好きになったわけではないが

影のないがゆえの嘘に気づきはじめたのだ

女は少しずつではあったが許すことを学びはじめていた

つまり恋が愛へと続く道を歩きはじめたのだ

 

 


風遊戯7●遊戯歌(ざれうた)

 

ふふふ おんなの くちの あそび

ゆびを からめ くちを まるめ

ぴんくの うそ かじる よる

わたし だって みみが すてき

こんな らっぱ るりで るらら

はらっぱ なんて とんで ゆける

だめよ だめでないわ ゆくわ わたし

べにを ぬるわ おへそ そっと

おしり くるり るんば おどる

だんす すきよ らっぱ よっぱらった 

ねこの せなか つきの ひかり

いつか おんな わらい ねむる

 


風遊戯8●対話風スケッチ

 

わらってたでしょ

わらってなんかないさ

 

にじがみえたね

それはどこのそら

 

おなかがすいたな

あたまもからっぽさ

 

おつきさままんまる

いけのなかでゆれてる

 

おほしさまきらきら

おひさまはぎらぎら

 

つめたいみずがほしい

あついみるくもいいな

 

ひとさしゆびはかなた

こゆびはやくそく

 

さかなきららはねた

ひつじめーとないた

 

ぺんぎんあつくてだらら

らいおんおこってがおお

 

かみさまがすきさ

ほとけさまもおいのり

 

むこうでじしんぐらら

こちらでもりがもえる

 

いざなぎこわくてにげる

いざなみだってかなしい

 

さとるってどんなの

あきらめるのとちがうな

 

あいされるのってすきよ

あいするほうがすてき

 

ないてたでしょ

ないてなんかないさ

 

ひとってこんなにかなしい

かなしいけれどいとおしい

 


風遊戯9●スサノオ

 

荒ぶるスサノオ

母求めて泣き

恋人求め足踏みならす

 

こわがらないで信じて

きっと願いかなう

だからしっかりみつめて

 

虹の彼方にスサノオ

泣きやんでいつか笑う

はにかんだ瞳かがやく

 

こわれかけた地球

てのひらにのせて

くるりまわし遊ぶ

 

めざめたスサノオ

恋を愛に変えて

地に花を植える

 

おお、スサノオ

幾何学を時間の中に解き放て

閉じていた卵の内部を裏返し大宇宙とせよ

叡智の輝きを愛の滴で満たせ

 

おお、スサノオ

愛の使者よ

火と水を結べ

こわれかけた星を癒せ

 


風遊戯10●うちゅうのうた

 

みみをすますことは

ぼくをからっぽにすること

ほんとうにうたうということも

じつはぼくをからっぽにすることなんだ

 

からっぽっていっても

むせきんっていうのじゃない

ぼくをいちばんだいじにするっていうこと

じぶんがうちゅうのうつわになるってことなんだ

 

そのうつわにそそがれるものを

だいじにだいじにするために

ぼくはからっぽでなくちゃならないんだ

からっぽでないとたくさんそそげないでしょ

 

さあ みみをすまして

ほら ぼくのうつわにながれこむのは

うちゅうのうただ

 

さあ うたって

ほら ぼくのうつわでうたっているのは

うちゅうのうたなんだ

 

だからぼくもきみもない

けれどぼくときみなんだ

いちばんさがしていたぼくときみなんだ

 

 


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