「武満徹を語る」レゾナンス

7 ともだち


2007.4.27.

   グリリ 彼は日本人のアーティストですけれども、俺は日本人の代表
   者というような意識は全然なかったと思うんですね。そういう意味で
   はあの人はすごいですね。いつも彼は「私とあなた」の関係なんです。
   大原 友達なんですね。ほら、よく武満さんが「世界の武満」と言わ
   れて一流になっても、僕は一流です、日本代表ですみたいな、世界の
   武満だみたいなことは本人は全然ない。
   グリリ 変わらないでしょう、彼は。ほんとうの友達。でも、そうい
   う意識があると、どうしても壁ができる。それで、いくらかは温かい
   関係になってもね、ちょっと間に何かあるんですね。でも、武満さん
   だけにはそれがない。
  (『武満徹を語る15の証言』小学館/2007.4.2.発行
   「第13章 プロデューサー・ピーター・グリリさんに聞く」より)

天は人の上に人をつくらず
人の下に人をつくらないはずなのに
代表者になろうとする人がいる

「最後のお願い」に来る人もいる
「最後のお願い」は
みなさんの代表者にしてください
ということなのだろう

その代表者は
友なるイエス
内なるキリストのように
私のなかの切実なるあなたのようでは
おそらくないだろう

人は人の上に人をつくり
人の下に人をつくりたがることが
あまりに多いから

自分の上に人をつくり
自分がそれにしたがうことで安心し
自分の下にも人をつくり
自分がその上にたった気になって安心したほうが
ずっと世の中がうまくいくという
不思議な処世を生きる人のほうがずっと多いから

ともだち百人できるかな
でもほんとうのともだちは
ぼくの代表者なんかじゃないだろう
ぼくの上にも下にもいるはずがない
ともだち何人できるかな
ほんとうのともだち・・・