池辺 武満さんが表現されたものは、たまたまアウトプットが音楽だ
ったけれども、どこかでちょっとそのアウトプットに至るプロセスの
回路が少し違っていたら、詩になったかもしれないし、どこか回路が
違ったら、絵だったかもしれないし、文学だったかもしれない。何に
でも成り得る。何にでも成り得る音楽というのは、ほかには誰も書い
ていないと思うんです。
(『武満徹を語る15の証言』小学館/2007.4.2.発行
「第6章 作曲家・池辺晋一郎さんに聞く」より)
ぼくはたまたまぼくだったけど
どこかでちょっと何かが変わっていたら
ほかのぼくになったんだろうな
それにぼくがぼくであることなんて
きみがちょっと怒っただけで
ずいぶん変わってしまうくらいだ
もちろんきみが笑ってくれただけで
ぼくはまたべつのぼくになって
鳥のようにさえずることだってできそうなくらいだ
でもぼくのなかのなにかは
ぼくでなくちゃならないものもあって
そしてきみがきみじゃなくちゃいけないものを
ちゃんと探し当てようとしているのも確かなことさ |