《ぼやき》
2014.8.29

いのちも軽くなったもんさ
生きていればそれでいいというのだから

言葉も偉くなったもんさ
沈黙なんか相手にしなくなるくらいに

笑いも小心になったもんさ
弱者を傷つけないかとびくびくしてさ

物もものものしくなったもんさ
見えないものなんか存在しない時代になってさ

知恵も紐付きになったもんさ
いまじゃ科学の太鼓持ちのようさ

愛も世知辛くなったもんさ
無私なんて無視されてしまってさ

自由も臆病になったもんさ
檻のなかにいて安心したがるほどに

時間も生真面目になったもんさ
真っ直ぐばかりで永遠をなくしちまうほどに

☆風遊戯《ぼやき》ノート

◎今回はちょっと息抜きヴァージョンの「風遊戯」として、すこしばかりぼやいてみました。

◎現代という時代は、あらゆるものが過剰に管理される時代だともいえます。健康やらケアやらまでが、世の中の「基準値」のようなものに基づいてそれに照らされ、管理されてしまうような。

◎目に見えないもの、科学的に検証できないもの、お金に換算できないもの、外から基準を与えられないもの・・・。そうしたすべてが無意味なもの、考えるに値しないものになってしまう傾向にさえあります。それはまさに、世界の「奥行き」や「永遠」を失ってしまっているということでもあります。

◎イリイチに、有名な医療批判や教育批判がありますが、そのように現代はますますひとの「自律」が奪われ、「他律」的になってきている時代だといえます。外から教えてもらわないと自分で考えることのできない状態である「他律」。

◎医療でいえば、大切な「苦しむ」機会さえが奪われ、「健康」が数値化され、教育でいえば、正しいとされる答えを求めることが受験的な世界のなかで求められ、迷いながら問うことの価値がおざなりにされてしまいます。そして、そうした他律的な管理のしやすいところばかりが肥大して、自律的な部分がますます小さくなってしまう。そして自律を怖がる、つまりは「自由」への不安ばかりが大きくなる。そして「自由」は取り違えられ、お金のようなものを自由にする、とかいうことだけが価値づけられてしまう。

◎ある意味で、王子様がカエルに変えられてしまっているのに、それにさえ気づけないでいる状態。それは、ほんらい目に見えない「もの」が物質化されて目に見えるかのようになっている状態であるともいえます。カエルが王子様に戻るためになによりも必要なのは、自分がいまカエルであるということに気づくということが最低条件になります。今回は、そうしたことに気づき、呪縛状態から解放されるための「ぼやき」ということで・・・。