《同期》
2014.8.19

光を明滅させるホタルのように
邯鄲のハーモニーのように
同期する
どきどき

自分が自分を超えるために
みんなのなかの自分になって
同期する
どきどき

どこかで
同期を拒む自分がいる
同期しない
どきどき

遠い未来
進化した蜜蜂たちのようになって
みんなと同期できればいいのだろうけれど

いまはまだ
自分が自分であることも
自分が自分でないことも
どちらも苦しいから

まだ見ぬ自分が
世界の秘密の花から集めてくるだろう
秘蜜を探して歩くことにする
蜜蜂にはなれないけれど
秘密の花と同期する
どきどき

☆風遊戯《同期》ノート

◎「同期」のテーマは、蔵本 由紀『非線形科学 同期する世界』 (集英社新書 2014/5/16)) から。何万匹ものホタルが同時に明滅するなど、世界各地の「同期」の興味深い話からいろいろ思うところを。ちなみに、アマガエルはホタルのような同期はしないで、メスの気を引く?ためにほかのオスとはわざと逆に鳴くそうだ(反同期)が、これも「あまのじゃく」的な「同期」なんだろうと思う。

◎ちなみに、「邯鄲」というのは美しい鳴き声のコオロギの和名。『邯鄲の枕』という物語が伝わってから名前がつけられたとのこと。中国では天蛉と呼ばれている。

◎人間の場合も、白か黒、賛成か反対かなど、同期と反同期が大勢を占めるけれど、どちらもあまり好きじゃなかったりもする。ぼくは多くの場合、捻れの位置にあって、白でも黒でも灰色でもなくて、別の場所にいることを選びたがるところがある。社会的でも反社会的でも非社会的でもないというところ。

◎シュタイナーの宇宙進化論でいえば、蜜蜂のようなあり方はとても進んだ意識状態を成しているというけれど、人間がそれを達成するのは、ずっと遠い惑星期だといいます。もちろん、そのときの集合的な意識状態になるためには、現在のような自我的なあり方を通って、自由においてそうした状態となるのだろうと思う。

◎秘密の花をずっと探しているのかもしれない。そして、自分はその花の蜜を集める蜜蜂のようだったらいいなと。自分はまだそういう蜜蜂ではないけれど、まだ見ぬ未来の自分のことを想像しながら、ぼくは自分が自分であることや、自分が自分でないことを苦しみながら、そんな秘密の花の蜜のことを思う。

◎先日、yuccaの実家の裏に日本蜜蜂が巣をつくっていたのがわかった。スズメバチやアシナガバチだったら仕方ないけれど、日本蜜蜂は駆除したくはない。とはいえ、そのままにしておくわけにもいかないので、「NPO法人日本蜜蜂大学」の植平さんという方にお願いして、「出張捕獲」をしてもらうことになった。なんと3万匹もいたらしい。捕獲したもらった日本蜜蜂たちは森に放ってもらえるという。副産物として、巣蜜を得ることができた。たいそう美味。
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