《世界劇場》 |
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2014.7.27 |
悪夢をみている
悪夢をみつづけている
そう思ったことはないか
目の覚めるたびごとに
繰り返されるこの世界
悪夢をみているのは
いったいだれなのか
わたしという囚われ人
わたしがわたしを
閉じこめている世界
悪夢はどこにあるのか
わたしのなかか
それとも世界そのものか
世界という関数に代入されるわたし
わたしという関数に代入される世界
そのウロボロスのような合わせ鏡のなかで
悪夢は静かに踊っている
夢幻能のように
わたしは橋掛かりから現れるが
みずからがその語りを聴く者でもあり
また見所でもある
見ることで世界を変え
見られることで
みずからを変える者でもあるのだ
秘密などどこにもないのだろう
愛が隠されることなど決してないように
ただみずからの仕掛けた魔術を解いて
秘密という蜜を味わえるように
愛の不思議世界に魅せられるように
世界そのものが劇場となって
ときに悪夢を楽しませてくれるのだ
そのひとときの遊戯のために
無は有へと変容し
永遠は時間の姿をとって
めくるめくステージの上で
わたしと世界を踊らせている