《発芽》 |
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2014.6.14 |
種のなかでは魔法が踊っている
やがて芽を出し空へと向かっていく力と
それをささえる大地へと根をのばす力
大いなるふたつの力が均衡され
熟しながら静かに静かに踊っている
精霊たちは大地のなかで跳び上がる
水と土のあいだで
植物たちを空へ空へと押し上げている
地上を絶えず憎みながら
カエルになんかなってたまるものかと
わたしという種は闇のなかで時を待つ
闇のなかでは星たちの声がきこえるから
星たちは語るのだ
その苦しみは喜びの種なのだ
天へと向かうには大地の支えが必要なのだと
熟していく
熟していく
発芽する力
沈黙のなかで
苦しみのなかで
静かに静かに
満ちてくるもの
やがて大地の魔法がわたしを空へと誘う
苦しみの力を大地で支える力に変えながら
闇のなかで育てられた力が芽吹き
空へ空へとはるかに飛翔していく