《鏡》 |
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2014.5.18 |
光あれ!
けれど
光を見ることはできない
光を見るためには
光を映す幕が必要なのだ
私よあれ!
けれど
私を見ることはできない
私を見るためには
私を映す幕が必要なのだ
私は私であることを知るために
自分に自分を映す鏡をつくる
私のからだは私の鏡
私の心は私の鏡
私は反転した私のなかで私を見る
だから私があなたに会うと
反転した私のからだと心が
ほんとうのことを言おうとして
反対のことを言ってしまったりもする
ほんとうは違うんだと叫びながら
愛は憎しみに
喜びは悲しみに
慈しみは傷つけあいに
私は私というこの世界の鏡のなかで
美しさと醜さ
善いと悪い
長いと短い
高いと低い
ほんとうは分けたくないふたつのあいだを
絶えまなく反転し続けながら生きている
まるで悪夢のように
私が私であろうとするための鏡の世界で
私よあれ!
鏡の間で
自分を限りなく映しあいながら
けれど私はここにいる!
映せない私がここにいる!
時空の鏡という
永遠を映す幕で
私は私の限りない夢を演じている
あなたという私の鏡と戯れながら