《星座》
2014.5.13


天空に星を見つけるように
自分のなかにも星を見つけ出すためには
新しい魂の力が必要だ

ぼくのなかの星は
見つけられるのをずっと待ち続けているけれど
見る力をもたなければ見ることはできない
見えないものを見る力

いちばん大切なものは見えないものだ
見えるものはやがてなくなってしまうものばかりだけれど
いつもぼくのずっとそばにいる大切なものは
見えないものばかりだ
愛や希望や勇気のように

ぼくのなかの星をつなげてみると
それらは星座のかたちになって
ぼくに語りかけてくる
まるで魔法の言葉のように

見えないものを見る力は
あなたのなかの星も見せてくれる
そしてその輝くような星座の言葉も
けれどその言葉を聴きとるためには
ぼくのなかの星座の言葉が必要だ

ほんとうのあなたは目には見えないから
そしてあなたもほんとうのぼくは見えないから
ぼくらはそれぞれの星座の言葉で語り合いながら
見えない姿で星のダンスを踊り
燦めく天空の星たちの新たな物語を紡ぎはじめる

 

☆風遊戯《星座》ノート

◎今回の《星座》は、自分のなかのさまざまな見えない星たちが、みずからの魂の力を育てることで、新しい神話を創っていくことができるのではないかということで書いてみました。別の表現をするならば、新しい物語を生きるための魂の創造性の試み、とでもいえるでしょうか。

◎ちなみに、天球の恒星は、ギリシア神話では神話のなかの人物や動物や道具などに見立てられ、古代ギリシャでは48星座。その後、南天の星座も加えられて、現在では全天は黄道で12、北天で28、南天48で88星座あるとされているようです。

◎さて、「コンステレーション」(星の布置・配置)という用語があります。ベンヤミンの『パサージュ論』なんかでもでてくるので、その筋の現代思想が好きな方にも馴染みがあるかもしれませんが、ここではユング心理学での「コンステレーション」のほうの意味をイメージしています。一見して無関係にそこに配置されているだけのように見えるものが、そこに星座のように意味を含んだものとして見えてくるといったような意味です。

◎しかし、そのコンステレーションは、それまで気づいていなかった配置がわかるというような、客観的な意味合いであるというのではなく、それを見出すことそのものに重要な魂の働きを見るといったものだと理解する必要があります。

◎それは、ある意味、これもユング心理学では重要な述語の一つですが、「シンクロニシティ」に近い部分もあるとぼくとしては理解しています。因果律ではなく、一見偶然のように見えているもののなかに、まるで星座の神話のような意味が見出されてくるとでもいったらいいでしょうか。

◎人と人のあいだの関係も、ただ三人称的に対するような見える部分だけしか見えないとしたらとても悲しいことで、互いの星座の物語を共有しあうような、そんな見えないけれど永遠にもつながってくるような関係性が大切なのではないかと思います。それは、もちろん死者との関係も同様で、そのためにも、みずからの内なる死者の星座も見出す必要があるように思っています。