《物語》
2014.3.21



始まりはいつか
そう聞く者がいて
永遠と答える者がいる

終わりはいつか
そう聞く者がいて
また永遠と答える者がいる

永遠とは何か
そう聞く者がいて
わたしでありあなたである
そう答える者がいる

地上に降り立ったとき
永遠は失われ
わたしの種は
まるで砂漠に蒔かれたように
その行方を失くしてしまったが
やがて永遠はみずからの内から
時間という糸を伸ばし
大地にその織物を広げた

そのように
わたしとあなたは
互いを見交わしながら
永遠を絵巻物のようにして
時間という物語を広げた

星たちは幾何学を織りなし
花たちは星たちの色を写し
鳥たちは風を空へと運び
季節は色とりどりのバトンを渡し
旅人は数知れぬ不思議の冒険を続けた

わたしとあなたの恋が物語になり
わたしとあなたの戦争が物語になり
物語は時空の織物で綾なされた

やがて
わたしはあなたになり
あなたはわたしになり
そうして巻物は再び閉じられ
始まりと終わりが
永遠のなかでひとつになる

永遠のなかで
その繰り返しを
モノローグのように物語る者がいる

 

風遊戯《物語》ノート」

◎春分の日の今日は、占星術的には一年のはじまりだといいます。

◎占星術との関係ということではないのですが、そのはじまりにあたって、永遠が展開する「物語」というイメージをことばにしてみました。

◎イメージのなかにあったのは、「おもちゃのチャチャチャ」だったりします。「おもちゃは はこを とびだして おどる」→「おもちゃは かえる おもちゃばこ そして ねむるよ チャチャチャ」というイメージ。
ちなみに、その歌詞をつくったのは、野坂昭如だとのこと。