《鎮魂歌》 |
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2014.3.11 |
死者に祈ろうとするならば
私たちもまた
死者の国から来たり
死者の国へ帰還する者であることを
知らなければならないだろう
たとえパンドラの箱が開けられたのだとしても
それは隠されてしまっていたものが
その姿を見せているだけのことなのだ
そして箱の底には
希望の種があったことも忘れてはならない
それを育てることが
つかのま死者の国を離れた私たちの仕事になる
祈ろうとするならば
みずからを鏡に映さなければならないだろう
そこに映るものを
みずからに問い直さなければならないだろう
そしてみずからの姿をこそ希望に変えなければならない
つかのまの生者である私たちは
植えられた種に希望の水を注ぎ
そこに鎮魂の歌を吹き渡らせる
すると聞こえてくるだろう
死者たちの声が
私たちは歌う
死者と生者をともに言祝ぐ歌を
鎮魂は言祝ぎでなくてはならない
そして死者と生者をともに
揺さぶることのできる鞴(ふいご)のように
大地へ天空へと
歌を送りとどけなければならない