《夜明け》
2014.3.6


夜明けの歌を歌おうか
明けない夜はないという

かごめかごめ
籠の中の鳥が外に出る
夜明けの晩に
すべる鶴と亀

まだまだ深い闇の中
星たちは空でまたたきながら
神秘の舞踏を遊んでる

夜が明けるときには
気をつけるがいい
光のなかに溶け込んで
星たちの歌が聞こえなくなってしまうから

耳をすませて
ほら
後ろの正面をふりかえれ
聞こえてこないかい
星たちの裏声が
ほんとうの夜明けの歌が
わたしの深い深いところから

夜明けの歌を歌おうか
星の消えない夜明けの歌を
光のなかで見えてくる
後ろの正面を歌うのだ
ほんとうの夜明けを祝うために

 

☆風遊戯 《夜明け》ノート

◎忙しさに紛れてこのところ書いてませんでしたけど、ひさびさの「風遊戯」です。

◎3.11が近づいているなかで、あらためて世の中であまりにわかりやすく叫ばれている賛成/反対、白/黒などのようなことについて、叫ぶまえに自分がなにを見ているのか、聴いているのかを、「夜明け前」の気持ちで見つめ、聴きなおしてみたいという思いから少し。

◎光に照らされて見えてくるものはあるけれど、光によって見えなくなってしまうものもあることを忘れてはいけないように思います。それは、消えてしまっているのではなく、それを見る目が失われてしまうというか、そこに注意が向かなくなってしまっているということ。

◎見えなくなっているとしたら、それを見るためにどうすればいいのかをさまざまな方法で模索してみる必要がありそうです。そうすることで、光そのものも、なにかを隠蔽する方向ではない、ほんとうの光として顕れてくることができるのではないかと思います。そしてそれは、おそらく、見えなくさせられてしまっている「後ろの正面」にまみえるということでもあるのではないかと。