《羽化》 |
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2014.2.16 |
鳥のようにわたしは鳴く
空へ空へ空へ
地を歩き続けることに飽きて
羽ばたこうとするのか
空から大地に降り立ったことを思い出して
空が恋しいと思い鳴くのか
羽を育てるために
待ち続けた時が満ちる
羽化しようとするわたしの背中に
深い亀裂が入っていく
飛び立つ力をください!
わたしという器に
静かに注がれつづけた
いのちの水があふれ出すように
額の中にあったわたしという絵が
枠を取り払われて生きようとするように
けれどその祈りは
大地を歩くことで紡がれた歌
大地を歩くことでしか
歌えない歌だということを知らねばならない
そして飛び立つことは
わたしがわたしでないものに変わっていく
深い悲しみをともなうことを
知らなければならない
わたしに告げる声がする
みずからの真実の顔を見よ
隠されていた真実の顔を
それは怖気立つような醜い顔
声は告げる
おまえはみずからの叡智を研き
そのお前の醜い姿を
輝く光へと変えなければならない
これまでおまえを守ってきた大地は
もうおまえを守ってくれはしないのだから
そのかぎりない歩みとともに
おまえは羽ばたかねばならないのだ
鳥のようにわたしは鳴く
空へ空へ空へ
その声は喜びなのか
それとも深い悲しみの叫びなのか
わたしは両腕を大きく空に広げて
大空に向かって飛び立とうとする