《歌》
2014.1.3


歌を忘れたわたしには
鳥のことばが聴けません
空の彼方にあるという
秘密の里に行けません

歌を忘れたわたしには
月のことばが聴けません
満ちては欠けるそのかたち
紡ぐ銀糸が織れません

歌を忘れたわたしには
光のことばが聴けません
聖(ひじり)が告げる真実を
知るすべさえなくただ涙

歌を忘れたわたしには
死者のことばが聴けません
生まれ生まれて死んでゆく
黄泉の世界が見えません

歌を忘れたわたしには
愛のことばが聴けません
奏でてはじめてそれと知る
声の秘密が閉じられる