《誘惑》
2013.12.24


誘惑がくる!
あらゆる感官を通して

快楽を求めよ
死をおそれ生を楽しめ
かわりにおまえの永遠をよこせと

ぼくらの生は永遠を失くしている
まるで天を追われた堕天使のように

光から生まれ光を生むべく
ぼくらは永遠を旅立った
そしてやがて永遠を忘れ去った
記憶をなくした堕天使のように

生まれ死に生まれ死に
ぼくらは問い続ける
いったいどこから来てどこに往こうというのか
道しるべとなるべき感官を複雑な迷路に導き
喜びさえも恐れや哀しみに変えて

ぼくらは蛇のように地を這い回りながら
天をうらやみ地を呪い
そのくせ天を仰ぎ見つめ地を恋い慕い
光の反対のもの
永遠の反対のものを
かぎりなく欲望する

誘惑がくる!
永遠はいまここにあるというのに
ぼくらは光の雫だというのに

誘惑がくる!
けれどやがて知るだろう
永遠を去ったことの意味を
光へと帰還する者として