風日誌


吉田秀和・「音楽展望」の休載


2004.07.29

 

今朝(7/29)の朝日新聞で
吉田秀和さんが「音楽展望」を休むということを書かれているが、
吉田さんは今90歳。
お正月頃にはまた再開されるかもしれないということだが
これを機に新たな展開になるかもしれない。
頑張ってほしいものだ。
 
白川静さんも90歳を越えいま94歳。
まだまだお元気そうでうれしい。
ぼくの倍以上を生きている。
しかもこんなに精力的に。
 
そういう方と比べると
ぼくなどはほんとうに何もしていないと感じる。
とくに公になにかをしたいとかいうことは
まるで思わないのだけれど、
自分が90歳を越えたときに
どうだろう、精神の力を今だ持ち得ているだろうかと思う。
というよりは、ぼくなどはまだ何も始まってさえいないのだから、
90歳のときに何か始められているだろうかということを思う。
 
そういえば、ぼくの歳に、網野善彦さんは
その最初のまとまった著書『蒙古襲来』を書かれた。
数カ月間であの大部なものを書き上げたという。
そして今年に亡くなるまでとても素晴らしい仕事をされた。
しかも「先生」とかいうものを持ったことがなかったという。
網野さんの著書を今も少しずつ読み進めているのだが
その言葉の熱にはいつも感銘を受ける。
網野さんが90歳まで生きておられたら
どんなにか素晴らしいお姿を見せてくださったことかと思う。
 
ぼくはどんなに小さな存在だとしても
こうした人たちのことをひとつの励みとすることができる。
何かの権威の下で生きてきたのではない人たち。
そういう人たちをぼくはとても輝かしく思う。
 
さあぼくは90歳のとき
なにかはじめられているだろうか。
なにかをひとつ理解しようと思っても
少なくとも10年単位の時間は必要になるだろう。
そしてそのなかで試行錯誤がある。
まあせいいっぱいやっていれば
なにがしかの予感くらいは得ることができるのかもしれない・・・
という希望を持って生きていくとするか。
誇りといえば、先生がいないことくらいかもしれないけれど・・・(^^;)。
 
 

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