風日誌


神谷恵美子『ハリール・ジブラーンの詩』

バッハ・カンタータ第4番


2003.10.06

 

神谷恵美子の『ハリール・ジブラーンの詩』(角川文庫)を読む。
神谷恵美子という人の奥の深さをあらためて実感することになる。
この人は、なにかをただただ分析的に理解しようとする人ではなく、
それを味わわずにはいられなかった人なんだと思う。
音楽もまた神谷恵美子の大事な友であったように。
このなかで訳されているジブラーンの『イエス』について
「バッハのカンタータのような静かで深い響きが感じられます」
というような形容からもそのことがよくわかる。
 
このジブラーン、世界ではかなり有名のようだけれど、
日本ではいまだにあまり知られていない。
ジブラーンは、1883年にレバノンで生まれ、
1931年に48歳でアメリカに没している。
 
ジブラーンについてはじめて知ったのは、小森健太郎氏から。
小森氏の訳されたミハイル・ナイーミ「ミルダッドの書」(壮神社)について
ぼくがtoposで書いていることからメールをいただいて、別の訳書に
ジブラーンの『漂泊者(さすらいびと)』 (壮神社)のあることを知って以来のこと。
その後、そのジブラーンの代表作『預言者 』(至光社)を
古書店で見つけたりもした。
『ハリール・ジブラーンの詩』には、
『預言者 』からも数編が紹介されている。
 
今日は、やはり神谷恵美子の「バッハのカンタータのような」という形容から、
ぼくがはじめてきいたバッハのカンタータである
バッハ・コレギウム・ジャパンのカンタータ全曲シリーズのVol.1の最初の
ミュールハウゼン時代のカンタータ、第4番「キリストは死の縄目につながれたり」。
(現在はVol.22まででている)
これがでたのは1996年のこと。
もう7年というかまだ7年といったほうが適切か。
 
ぼくがドイツ語をすこしでも囓っていてほんとうによかったと思えたのは、
会話といった実用的なところにあまり関心のないぼくには、
シュタイナーの原書がドイツ語であるということと
こうしたバッハのカンタータがドイツ語だということ。
 
久しぶりにカンタータ全曲シリーズのVol.1をきいてみると
それをはじめてきき、繰り返しきいたときの
魂の底から沸き上がってくる感動をあらたにすることができた。
これはシュタイナーの言葉で味わうことのできた認識の喜びにも通じている。
 

 ■「風日誌」メニューに戻る
 ■「風遊戯」メニューに戻る
 ■神秘学遊戯団ホームページに戻る