風日誌


二つの極の振幅を生きる

Steinerの朗読CD“Buddha und Christus”.


2003.08.21

 

上遠野浩平のブギーポップシリーズの新刊
『ビートのディシプリン SIDE2』(電撃文庫)より。
 
        (しかし俺はーーいったい何と戦っているんだろうな…?)
        彼は心の中で自問する。どこまでも続くこの過酷な運命に終わりはあるのか、
        理不尽と疑問ばかりが積み上がっていくこの道程の先には、何らかの答えが
        待っているのだろうかーー。
 
シュタイナーは言う。
 
        さて、私たちは、この世の人生が決して単なる涙の谷ではない、ということ
        に気づかされます。この世は、間違った禁欲主義が望んでいるような、ただ
        そこから抜け出すためにあるような場所ではなく、崇高な使命を持った聖な
        る場所なのです。
        (「オカルト的な読み方と聴き方」より)
 
私たちは、二つの極の振幅を生きている。
 
意味のない世界を生き、また意味に満たされた世界を生きる。
この世的に生き、また彼岸を信じて生きる。
快楽に生き、また禁欲に生きる。
すべてを偶然と考え、またすべてを運命と考える。
愛に生き、また無常と非情を生きる。
我を見捨てたもうたかと絶望し、またそれでも信じると告げる。
 
振り子のように揺れ揺られながら
今日も息を吸いまた吐きだし、
世界を吸いまた吐きだしながら
その人でなければ歌えない歌を
(ほとんど聞こえない声だろうが)
歌い続けているのだろう。
 
さて、今日のBGM(としてもきける)は
Rudolf Steiner Verlagからでている
いわば「聴くシュタイナー」とでもいう講義の朗読CD“Buddha und Christus”.
 
シュタイナーの講義のいくつかがこうした
朗読シリーズになってでているのだけれど、
これがけっこういいBGMになる。
なかなかドイツ語が聞き取れないのが苦しいけれど、
それはそれとしてシュタイナーはこういう感じで講義していたのか、とか
詩のようにきいてみるのもいいのではないか。
 
 

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