風のメモランダム

BIRDER/ポール・サイモン/渡辺香津美/高橋アキ


2006.6.25.Sun.

■BIRDER 7「実は楽しい河原のバードウォッチング」

今年のはじめ、この雑誌BIRDERの増刊号の特集
「カワセミ」があまりに魅力的なのを書店でみて以来、
この雑誌が気になっていたのだけれど、
あまりにマイナーな雑誌のためか書店では増刊号以外どうしてもみつからず、
(発行所:文一総合出版)
かといって注文するのも面倒だと思っていたら
やっとこの7月号を見つけることができた。
さすが、鳥の写真、キレイ!

特集は「実は楽しい河原のバードウォッチング」。
「川のせせらぎに耳を傾け、ボーッと流れを眺めて、
もちろん鳥たちとの出会いも楽しむ。
たぶん楽しいと思うなぁ。いやいや、絶対に満足すること請け合います!」
とのこと。

最近、朝、車で出勤するときに、少し遠回りになるのだけれど、
疲れ気味のときには、美しい川沿いのコースをとったりしている。
岡山は大きな川が多いので、その点はとても恵まれている。
季節の日々の微妙な変化もわかって、とても気持ちがなごむ。
もちろん、サギ類はあたりまえのようにいる。
臆病な鳥だけれど、ひたすら彫刻のように
じっと川の中に立っていたりする。

ぼーっとする時間、つくらねば。

■ポール・サイモン/サプライズ

5年半ぶりのアルバム。
S&G復活とかあったので、そっちの新譜がでるかもと思っていたら、
やはりアルバムは、別のようだった。

今回は、ブライアン・イーノが、
「Sonic Landscape」とやらいう役どころで参加している。
確かに、今までのサウンドとかなり変わっていて、とても新鮮である。
それが「サプライズ」なのだろうか。
とくに「サプライズ」という曲はなさそうで、
2曲目のEVERYTHING ABOUT IT IS A LOVE SONGのなかには
Make a wish and close your eyes:surprise,surprise,surprise.
というところがあるくらいだけど。

あるいみサプライズ!なのは、
むしろ、ポール・サイモンが若返った感じ、
まだまだチャレンジ精神旺盛に感じられるところだろうか。
歌詞もけっこう読み/聴きごたえがある。
名盤とまではいかないとしても、かなりの佳作。
少なくとも前作よりはぼくにはとても素晴らしく聴ける。

■渡辺香津美/ギター・ルネサンスIII

渡辺香津美のギター・ルネサンスのシリーズの第3弾。
第3弾がでているということは、けっこう好評だったということだろう。
今回は、前回の公開録音ベースのものとはうってかわって
スタジオ環境での「緻密なギターの響き」を重視したもの、とのこと。

1曲目に「オーバー・ザ・レインボウ」が収められているが、
ノーツにこうある。

超えようとして超えられない、大いなる<音の河>。
その対岸に渡るには、架けられた<虹の橋>を辿っていくしかないのだ。
その第1歩を、今僕は踏みだしはじめた。

ギター1本で描かれる音の絵図を
これだけ楽しませてくれるのは、
やはり渡辺香津美ならではのことだろう。
ギター・ルネサンス三部作はもちろんI-Podに全部はいっていて
ギターの音が恋しくなったときに聴くのに最適である。

■高橋アキ plays 武満徹

CDの紹介ついでに、高橋アキの弾く武満徹のアルバムを。
これは2001年に武満徹没後5年の企画としてリリースされたものが
EMI CLASSICS 1300名盤として再発売されたもの。
素晴らしい演奏にかなりびっくり。
こういうのを聴き逃していたのだなあと後悔、でも聴けて満足。

ライナー・ノーツ(相場ひろ2006.4)にこうあるのにうなずく。
こういう厳しく緊張感のある、故に限りない魅力をたたえる武満徹を忘れては ならない。

現在、武満徹の音楽をとりまく状況は一転した。こんにち武満を聴き、
愛好する人たちの多くにとって、かつてとは逆に彼は、前衛音楽に対
する調性音楽の勝利を象徴する作曲家として理解されているようなと
ころがありはしまいか。明快な旋律を持っていて、豊麗で、どこまで
も美しくて、軽やかな聴取を可能にする作曲家としての武満徹が関心
を集め、1950年代から70年代の初頭にかけて、息の詰まるほど
緊張感の高い、厳しい音世界を創造し続けた武満はいなかったことに
されている気が、筆者はしてならない。そんな今だからこそ、再び高
橋アキのこの録音に聴き入る必要があるだろう。どんな美も、ひとつ
ひとつの音にひたすた耳を凝らすとによってしか味わい尽くすことが
できないことを、さりげなく主張して、なお聴く者を魅了して止まな
いこれらの演奏によって、武満徹という偉大な作曲家が残した音世界
の広さと深さを再認識することが、現在の私たちに求められているの
だ。