風のメモランダム

GWの過ごし方/赤と黒の万年筆/恩田陸『チョコレートコスモス』/『単騎千里を走る』


2006.5.8.Mon.

■GWの過ごし方について

連休の過ごし方は人それぞれでもちろん正解はないのだけれど、
やはり気質や性格の違いで同じことでもまるで感じ方が違うということを
ほぼ日の糸井重里の滅滅としたコメントであらためて思った。
「俺のゴールデンウイークが、どれほどおもしろくもないものだったか」

おそらく遊び相手のないままに家でごろごろしたのだろう。
そういえば、以前にもあまりに暇なものだから
スタッフの家を延々と探し続けたという話もあった。

これだけを見れば、なんて情けないんだろうとも思うのだけれど、
こういう多血質がいつも走っているような人だからこそ
ほぼ日のような素晴らしい実験も可能になったわけで、
そのことだけで空虚になってしまう性格そのものをどうこうはいえないだろう。

ぼくの場合は、糸井重里的多血質は希薄なので、
糸井重里にとって滅滅としたような状況がむしろ楽ちんだったりする。
GWを自宅で過ごしたわけではないけれど、
ほとんどを家のなかでネットもほとんどしないで、
ゆったりと本を読んだり映画をみたり、料理などをしながら
過ごすことができてよかったと思っている。

要は、自分の望む快適な部分を
どのような形で発現できるかということが
休日をいろんな色で染めることになるということだろう。
それはともかく、連休明けの1日はちょっとつらい。

■赤と黒の万年筆(Lapita6月号の付録)

以前、雑誌Lapitaの付録に
梶井基次郎の『檸檬』をモチーフにした
レモン色の万年筆がついていたが
今回は、スタンダールの『赤と黒』をモチーフにした
赤と黒の万年筆がついている。

こうして「檸檬」と「赤と黒」の万年筆をそろえて見ると
なかなか、なかなか、である。
インクの色を変えて2本セットでしばらく持ち歩いてみようと思う。
万年筆はまったくもって使い慣れてないが、
要は、スタイル、スタイルである。

石川九楊さんは、日本語は縦書きである、とかいう本を出しているが、一理ある。
といいながら、流されて、ほとんど横書きしかしていないが、
読むときには、やはり縦書きの表記がなんといっても読みやすい。
読みやすいということは、そこに蓄積された叡智があるはずである。
それでこの際、少し縦書きの癖もこの万年筆でつけてみたいと思っている。
たぶん日本で設計された万年筆、日本を書くのに適しているはずだから。

■恩田陸『チョコレートコスモス』

恩田陸の比較的最近にでている『チョコレートコスモス』。
なかなか時間がとれなかったのをようやく読んだが、これは傑作である。
ある意味、恩田陸の最高傑作かもしれない。
『チョコレートコスモス』というタイトルからは
ストーリーはまったくわからないだろうが、要は演劇の話。

ぼくは少しだけ大学で演劇部に所属していたこともあるので、
どうも演劇というと気になってしまうところもあるのだけれど、
そういうのを別としても、演じるということのなかにある
なにかいわくいいがたいなにかの姿を
本書でかいま見ることもできるかもしれない。

ちょっと分厚く500ページほどあるけれど、
読み始めると、もうジェットコースターのように止まらないはずである。

■『単騎千里を走る』

高倉健主演、チャン・イーモウ監督の『単騎千里を走る』を観る。
高倉健らしい役で中国の出演者たちもなかなかいいし、
子役も、またその高倉健との絡みも嫌み過ぎなくていいけれど、
日本語での脚本部分があまりにできが悪くてちょっとしらけてしまった。
高倉健が海に向かっているシーンも、あまりにもルーティーンである。
もう少しなんとかニュアンスをだせなかったものか。