風のメモランダム

吉田秀和「之を楽しむ者に如かず」/レコード芸術4月号特集「モーツアルト名盤大全」


2006.4.10.Mon.

■吉田秀和「之を楽しむ者に如かず」

レコード芸術4月号に、
「之を楽しむ者に如かず」という
吉田秀和のうれしい連載?がはじまった。

しばらく仕事を休んでいましたが、いろんな人たちがすすめて下さるし、
私の中でも、また少し書く気力が出てきたみたい。

ということである。

休んでいる間は楽しかった。音楽をきいていても、仕事をしていたころ
にくらべて時間がのびのびと楽に呼吸しながら流れてゆく感じ。
・・・
私も少しものごとを離れてみることをおぼえたのでしょうかね。

そういえば、ぼくも、とくに仕事というわけでもないのだけれど、
こうして最近はしばらく開店休業的な感じで過ぎていたのだけれど、
あまり書かないでいるというのはずいぶん楽ができる。
そもそも書けば書けてしまうというのがどうにも嫌な感じがしてしまうのだ。

ロラン・バルト風にいえば、言葉は権力である、ということでもあるだろうけど、
どうにも、自分が言葉をこうして書きつけているということに
嫌悪感ばかりを感じてしまうことがよくあるというか、
ある意味では、いつも、どうにも言葉がつらくて仕方がないところがある。

このまま何ヶ月かかかないでいたら、
あたまのなかも、こうした言葉に縛られるところから離れて
少しどこかに引っ越すこともできるのかもしれないのだが、
そうするには、50年早いという感じもするので、
よっこらしょと、なにがしかの嫌悪感を背負いながら、
やはりぼちぼち書いてみることにする。
できうれば、「之を楽しむ者に如かず」というように、
「楽しむ」ということをできうるかぎり忘れないようにしながら。

■レコード芸術4月号特集「モーツアルト名盤大全」

ところで、このレコード芸術4月号特集は「モーツアルト名盤大全」。
今年はモーツアルトの生誕250年にあたるということで、
このところやたらと、どこでもかしこでもモーツアルトだけれど、
そういえばここ数年は、あまりモーツアルトをきかなくなっていた。

少し前に、ろくに連絡もとらないでいる遠距離に住んでいる母から
モーツアルトはいったい何をきいたらいいのか、という電話があったので、
モーツアルトの名曲をまとめてどさっと送ってみたら、
クラシックをあまりきかないわりには、わりと楽しくきいている由。

せっかくだから便乗して、ぼちぼち久しぶりにききなおしてみると、
まあ、瘠せても枯れてもモーツアルトである。
いっしょに、パパゲノパパゲノ・・・とか歌ってみたり、
アヴェ・ヴェルム・コルプスなどに涙してみたりと、やはり素晴らしい。
しばらく便乗ついでにいろいろ渉猟してみることにする。