風のメモランダム

動くプロセスとしてのフィギュア/蟲師第7巻/Coyote No.10


2006.2.27.Mon.

■動くプロセスとしてのフィギュア

特にオリンピックなるものに関心があるわけでもないし、
正直、メダルがどうとか、オリンピック強化etcとかいうのはうんざりだけれど、
yuccaの影響もあって、体操やフィギュアをみていると
ついついその動きの、物理的だけではないところに惹かれている自分がいる。

フィギュアのエキシビションをみていて
名前はよく覚えていないけれど、
アイスダンスの中国の4位だったペアの
静かな流れるような動きに魅了された。
また、ぼくにはほんとうにめずらしいことだけれど、
荒川静香のクールでシャープな動きにもちょっとばかりときめいてしまった。
それと、まあプルシェンコはもうとんでもない人だなあと。

あたりまえのことかもしれないのだけれど、
「かたち」というのは、決して静止しているのではなくて、
また決して物理的な形だけなのでもなくて、
ある力が世界のなかでスパイラルを描いたりしながら、
描かれている動くプロセスとしての図形(フィギュア)なのだと感じることができた。

■蟲師第7巻

蟲師の刊行ペースがスピードアップしていて、もう第7巻目がでていた。
テレビの番組では今第17話までが放送されていて、
(しかし土曜日の深夜、というか日曜日の明け方前に放送されていて
だれがこんな時間にしっかりみていたりするのだろうと思ったりもするが)
いよいよDVDも刊行されはじめている。

ふつうは目には見えないけれど、
たしかにそこにあって働いているさまざまなモノの働きを
いまでも日本人の多くはうすうす感じ取っているからこそ、
こういうお話が受けいられるのだろう。
決して、気持ちのいい話というのではないのだけれど、
どこか郷愁のようなものを感じてしまうのはぼくだけではないだろう。

■Coyote No.10「バンクーバーからはじめる」〜宇和島

雑誌Coyoteの最新刊の特集は、「バンクーバーからはじめる」。
ぼくにはめずらしく、このCoyoteという雑誌を読み続けている。
今回の特集で「バンクーバー」という文字をよんだとき、
いったいどこだったっけ?と馬鹿なことを思ったりもしたけれど、
もちろんカナダで、星野道夫の世界と無関係でもない。

ぼくは、とても腰が重いし、
根が憂鬱質でほうっておくとそこに粘液質さえ加わってきたりもするので、
とてもとても旅好きだとはいえないのだけれど、
でも、こうしてCoyoteを読んでいると、
そんなぼくでも、旅にでている気持ちになれる。
そんな「風」がこの雑誌にはある。
だから読み続けているのだろう。

それと、このCoyoteを年間購読すると(ぼくはとくに申し込んでいないけれど)
森山大道×大竹伸朗の作品集「宇和島」というのがもらえるらしい。
宇和島というまちにぼくは数年を過ごしたことがあって、
それがこうして「作品集」になっているというところにも
不思議なご縁を感じているのかもしれない。

そういえば、大竹伸朗は、宇和島在住なのだった。
ぼくはそのことを『既にそこにあるもの』(ちくま文庫)を通じて知ったのだけれど、
ぼくがこのまちを離れてから、大竹伸朗は宇和島に住むようになったらしい。
宇和島、魚の安くて美味しいまち。
なぜか、「ヒリアード・アンサンブル」のコンサートがあって
それにわざわざでかけたりもしたまち。
そうそう、yuccaと暮らし始めたときに仕事をしていたのもこのまちだったのだ。