■古今和歌集1100年/ひらがなの謎を解く
芸術新潮2月号の特集は、石川九楊さんの解説による
「古今和歌集1100年/ひらがなの謎を解く」
石川九楊さんの著書などのおかげで
ずいぶん「書」の世界への盲目的状況からは
ほんの少し脱することができたようにも思うのだけれど、
「書」の美しさはぼくのなかでは
ほとんど手つかずのものであることに変わりはなく、
せめてこうして「ひらがな」の謎と魅力に少しなりともふれることで
自分のなかの貧しさのなかにもひとひらの花を舞わせてみたいもの。
ぼくのなかでひらがなが生きはじめる
書が躍動しはじめる
未知の大きな大きな世界がそこにひらけている
■河井寛次郎『蝶が飛ぶ葉っぱが飛ぶ』
河井寛次郎の文章を集めた新刊
『蝶が飛ぶ葉っぱが飛ぶ』(講談社文芸文庫)を
大切な器を愛でるように読み進めている。
一度に読み飛ばすにはあまりに美しい。
いろんなことばが、ぼくのなかでさまざまに響いてくる。
「山をみている 山もみている」
「私は木の中にいる石の中にいる 鉄や真鍮の中にもいる
人の中にもいる
一度も見た事のない私が沢山いる」
「私はどんなものの中にもいる
立ち止まってどの声をきく
こんなものの中にもいたのか
あんなものの中にもいたのか」
ぼくがうまれてきたのは
そのように
どんなもののなかにもある自分を
見つけ出すことなのだろう
ぼくはぼくでありながら
あなたのなかにもぼくをみつけることができる
蝶が飛ぶ
ぼくは蝶になる
葉っぱが飛ぶ
ぼくは葉っぱになる
どんなもののなかにも
じぶんを見出すことのできるように
ぼくはぼくでありたいと思う |