■漆原友紀『蟲師』のアニメ化 漆原友紀の漫画『蟲師』がテレビアニメで放映されている。 残念ながら、リアルタイムでテレビを見ることはできないでいるのだけれど、 なんとかたぶん最新であろう第8話までの映像記録を入手することができた。 おもったよりも、暗い感じではなく、 テーマソングもある種の軽みがあって、 しかも原作の感じをよく演出できている。 アニメというと、 最近では、ディズニーなどが CGアニメなどを手がけていたりするが、 どうもCGだけでつくられたものには いまひとつどこか感情移入しきれないところがある。 あの3Dの動きや立体面に貼り付けられた模様のつるりとしか感じなどが むしろ仇になっているような気もする。 ぼくはどうもゲームとかやる気にならないから そういう感じに親和性がないということかもしれない。 比較的最近のアニメでいうと 「イノセンス」なんかよくできていて、 思わず息をのんでしまう映像がたくさんあって素晴らしかった。 やはり、「コドモダマシ」かそうでないか、の違いということかもしれない。 でも、だまされる「コドモ」ってどうなんだろ。 ■吉田篤弘『78』 吉田篤弘の「お話」があいついて新刊ででている。 吉田篤弘の紡ぎ出すお話は、 ことさらなドラマチックさは皆無だけれど、 とても静かでやさしい語り口が 個人的にとっても気に入っている。 『78』は、かつてのSPレコードの回転数で、 いろんな物語がその「78」ということから さまざまに不思議な響きあいをしていく長編。 ぼくがいちばん最初に手に入れたステレオセットには、 33回転と45回転のほかにも78回転がついていて、 そんなにかける機会はなかったものの、 古い古いレコードがくるくると高速で回って そこから音がでてくるのを不思議に感じていたことを思い出す。 もちろん、33回転と45回転のくるくるから 音がたちのぼってくるのも不思議に思っていたのだけれど、 あの高速回転はめまいがするようだった。 高速回転であるにもかかわらず そこからでてくる音が その高速と矛盾するような古めかしさだったからでもある。 しかしあの、レコードをかけるという 時間のながれというのはよかったなと思う。 今の、データ化されたi-Podの世界も便利でいいのだけれど、 レコードをふき、その回転をながめながらきく音楽の時間は、 i-Podできく時間の流れとずいぶん違ってきているように感じる。 そういえば、先日新刊ででたスペンサーシリーズにも yuccaの話では、i-Podがでていたらしい。 ハードボイルドの世界もデジタル化の波は無縁ではないらしい。 もちろん、携帯電話も必須アイテムだ。 だからこそ、こういう『78』の世界が、 物語として静かに成立することに ノスタルジックな感情が刺激されるということでもあるのだろう。 |
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