「武満徹Visions in Time」レゾナンス3

個性の共存

2006.4.26

個性の共存ということは、論理の上では成立しない矛盾である。
私は共同の作業を試みることで、その矛盾を克服しようとする
ものではない。反って、激しい矛盾を体験することによって、
真の存在を知ろうとするのである。二つの異なるものを調和さ
せるように努めることは、生きることの訓練ではないか。その
矛盾は運動をうみ、そこには空気が通う。
(ーー「自然と音楽ーー作曲家の日記」『音、沈黙と測りあえるほどに』)

 

音と沈黙は共存し得るか
有と無は共存し得るか
生と死は共存し得るか
神と悪魔は共存し得るか
光と闇は共存し得るか
混沌と秩序は共存し得るか
論理と矛盾は共存し得るか
物質と精神は共存し得るか
モノとコトは共存し得るか
線形と非線形は共存し得るか
感情と思考は共存し得るか
アナログとデジタルは共存し得るか
平均律とミーントーンは共存し得るか
キリスト教と仏教は共存し得るか
日本人智学協会と日本アントロポゾフィー協会は共存し得るか
男と女は共存し得るか
愛と憎は共存し得るか
わたしとあなたは共存し得るか

わたしは一個の矛盾である
私は果たして成立するだろうか
わたしという矛盾が矛盾ゆえに遊戯する不思議