2013.10.16

☆ホウジャク・オオセイボウ

ちょっと変わり種の昆虫2種。どちらも特に珍しいというわけではありませんが、見るほどに興味深い生きものです。

はるか昔、愛媛県松山市での小学校時代、花の回りをぶんぶん飛び回るオオスカシバをはじめて見たとき(そのときは名前ももちろん知らず)、透明な翅を急速に動かして飛んでいるため、ほとんど胴体(緑地に、赤、黄、黒の目立つ縞模様)だけが宙に浮かんでいるように見えて、びっくりして眺めていた記憶がありますが、昨日夕刻、実家の庭の芙蓉の花に、オオスカシバが次々にやってきました。うなるような羽音と黄色がかった太い胴体のシルエットに、一瞬スズメバチ?と身構えましたが、見るとなつかしいオオスカシバ。写真を撮ろうと近づくと、ささっと逃げられてしまいました。

画像は、先月8日に総社市の湿地で見たものですが、翅が透明ではなく、たぶんホウジャクかと。もっともオオスカシバも、羽化直後は翅に灰色の鱗粉があり、飛び立つときに鱗粉が落ちて透明になるそうですが。ホウジャクの仲間は、よく似たものが多く、飛んでいる画像だけでは種の同定は無理のようで(最初ヒメクロホウジャク?と思いましたが、よく画像見ると腹部の模様が違うような)、とりあえずホウジャクの仲間ということで・・。ヘッセの『晩夏の蝶』の詩にも、「臆病なホウジャク」[Der scheue Taubenschwanz]と歌われてます。

ホウジャク(蜂雀) Macroglossum stellatarum 英:Humming-bird Moth 独:Taubenschwanz=鳩の尾

 ホバリング(停空飛翔)しながら、長い口吻を伸ばして吸蜜する姿は、 ハチドリを思わせ、英名は文字通りハチドリ蛾。
 独名は、腹部先端の扇状に広がる尾毛を鳩の尾に見立てているようです が、腹部から尾にかけての曲線など、ちょっとエビやシャコのようにも 見えたり(^^)
 蜂と鳥と蝶の要素を兼ね備えたような昆虫で、熱、光、空気といったエ レメントの微妙な配合というのか、差異化しつつ複合的に働きかける造 化の妙、といいうのか、そんな計らいを感じさせられます。

オオセイボウ(大青蜂)Stilbum cyanurum 

 はじめて見てびっくり、息を呑むほどきらきらと鮮やかなメタリックな 青緑・・!
 ホウジャクやヒメアカタテハ、さまざまなセセリ蝶などと同じ花(サワ ヒヨドリ)で吸蜜していました。
 幼虫は、ドロバチ類(スズバチ、エントツドロバチなど)の幼虫に寄生 するそうです。
 いろいろなニュアンスの青や緑の光沢は、藍銅鉱(アズライト)や孔雀 石(マラカイト)の入り混じった、銅の二次鉱物のきらめく鉱脈など連 想したり・・。地中に隠された金属が漂い出て凝縮したかと思うような 昆虫。     撮影:KAZE 9/8
(写真7枚)