2013.9.619

☆キンミズヒキ

この夏、とくに親しみを覚えた野草のひとつがキンミズヒキ。実家の庭のいたるところに生えていて(今回はこれでもかというほどヤマトシジミが飛び回り^^;)、初夏の頃、生え始めの柔らかな緑色の若い葉が、細やかな鳥の羽を束ねたようなのに心惹かれ、その後暑さが増すに連れ、長く伸びた花序に小さな黄色い五弁花がたくさんついて、繊細な華やぎ。気づいてみれば、今まで気づかなかったのが不思議なほど、随所で見かけます。水引草と言えば、水辺などで見かける、細い茎に赤い粒のような花をつけるミズヒキ、これはタデ科で、黄色い花のキンミズヒキはバラ科とのこと。タデ科のミズヒキがごく小さな赤を点々と灯して、細々と立ち上がっているのを見るたび、立原道造の詩「のちのおもひに」の、「水引草に風が立ち」の節を思い出すのは、亡き母が立原道造の詩が好きで、よくこの一節を口ずさんでいたから。最近知ったこのキンミズヒキも、ほっそりした黄色い花穂が風のなかでいくつも揺らいでいたりすると、草花と光と空気との微細な交歓を見るようで、新たな水引草体験というのか。可憐な印象の花も、房つきの円錐型の実になると、いわゆるひっつき虫と化し、長い茎にびっしりついて、9月ともなれば、ちょっと触れただけで、房状の刺毛でしっかり衣類にくっつき、軍手にもびっしり、ニットなどは悲惨なことに。放置するととめどなく増えるので、少しずつ間引いたり、刈ったりするけれど、若い芽は食用になるほか、多くの雑草と同じく、このキンミズヒキにも薬効があるそうで全草を天日干しして煎じて用いるようです(止血、下痢止めなど)。薬草として、竜牙草、仙鶴草、といった呼び名があるとか。

この一角では、ヨモギ、ツユクサ、プランターからはみ出して野生化したミントなどに混じって、イノコズチ、センダングサ、などなど、秋口にひっつき虫化する草たちが増殖中。イノコズチ(猪子槌)の根が、生薬の牛膝(ごしつ)というのは、目からうろこ。画像:8/14

 キンミズヒキ( 金水引) Agrimonia pilosa