今日、世間には対症療法の医師とホメオパシーの専門医がいます。 ホメオパシーによって、すべての病気を治すことはできません。多く の病気を対症療法で治療しなくてはなりません。その場合、薬を別様 に調合しなくてはなりません。狂信者になってはいけません。十分な 知識をもって、薬を与えねばなりません。人智学においては、「対症 療法かホメオパシーか」というふうには言いません。 対症療法は、主に胃腸・腎臓に効果があります。ホメオパシーは頭 から発する病気、たとえば風邪に効きます。多くの病気が頭から発し ます。ものごとが自然のなかで、どのように経過するか、知らなくて はなりません。人々は今日、何も知らないので、スローガンを掲げま す。人間は、ものごとをもはや理解できなくなると、いつもスローガ ンを掲げます。 (シュタイナー「地球の生命と人間の自然治癒力」より 『自然と人間の生活』西川隆範訳/風濤社2004.3.31/P144) シュタイナー関連の近刊で、ホメオパシーに関するものがでるらしい。 ------------------------------------------------------- ルドルフ・シュタイナー 著 健康と病気について 精神科学の感覚的体系の基盤[新版] 熊坂 春樹 訳 由井 寅子 監修 2004/05 \3,150 ホメオパシー出版 ------------------------------------------------------- まだその内容は確認できていないのだけれど、 シュタイナーの示唆した医学とホメオパシーが どこかで混同されてしまっている向きもあるかもしれないので、 その違いの部分を確認しておくことにしたい。 おそらく、その「精神科学の感覚的体系の基盤」においては その部分は明確にされているだろうから、 むしろそれが翻訳・刊行されることで その混同されがちな部分を明確にできることになり ホメオパシーが有効な部分領域も明確になるのだろうと思われる。 たとえば、『精神科学と医学』の第5講においても ホメオパシーとアロパシーについて述べられており、アロパシーというのは本当はなく、 アロパシー的な治療であっても、すべてホメオパシーのプロセスによって治療されている、 アロパシー的な治療は、生体組織に負担を多く与えることになる、 と言っているのもの、ホメオパシーを手放しで肯定しているというわけではない。 重要なのは、ホメオパシーがなぜ有効なのか、 それはどのように生体組織における治癒のプロセスに関係しているのか、 ということを明らかにすることなのである。 つまり、ホメオパシーについてシュタイナーが言及しているのは、 「人間と人間の外部の環境との個々の関係」を見出すためのものだといえます。 さて、おわかりのようにホメオパシーとは根本的に言って、本来ある程度自然 そのものから非常に注意深くひそかに学びとられてきたものなのです。たとえ その際、これについてもさらに見ていきますが、ファナティスムが意味ありげ な飛躍をしてしまったことがあったにせよ、そうされてきたのです。しかしこ こで重要なのは、人間と人間の外部の環境との個々の関係のためにいかに道を 見出すことができるか、ということを認識していくことです。 (『精神科学と医学』第5講/yucca訳より) ここでも「ファナティスム」という言葉が使われており、 最初の引用においても、「狂信者になってはいけません」、 「人間は、ものごとをもはや理解できなくなると、 いつもスローガンを掲げます」とあるように、 ホメオパシーが注目されるようになってきているがゆえに、 その有効な領域を明確にしておくことが必要なのだと思われる。 つまり、ここで示唆されているように、 「対症療法は、主に胃腸・腎臓に効果があります。 ホメオパシーは頭から発する病気、たとえば風邪に効きます」 というように、なぜその症状が生じているのか、 そしてその症状に対するの有効な治療方法を 見出していく方向が必要になってくるということなのである。 |