note30:
・物質的なものとエーテル的なものにおける圧力及び吸引力
・エーテル球における「ネガティヴな重さ」と
 「空間をネガティヴに満たそうとする傾向」とのあいだのバランス

<ジョージ・アダムス 『エーテル空間』からの引用>

 二つの力、“光と重さ”について述べましょう。ここでもまた球が、次のような単純な
例を提供してくれます。
 物質的な球は、圧力が加えられることによってその特性を表します。重さは収縮する
性質を持っています。物質はすべて中心点へ、つまりその“重心”へ向かおうとします。
もしもこの力だけが作用するなら、ついにはすべてがひとつの点へと収縮してしまうで
しょう。しかし物質は非貫入性という性質を持っています。物質はすべて自らの空間を
主張します。そこには反力としての弾力性が、つまり内側への圧力に抗する外側への力
が作用します。最終的には、個々の物質に固有の重さと空間を占有しようとする性質に
応じたバランスが、圧力と反力のあいだに生まれます。
(P.58)
 今度は、エーテル的な力を持つ球の理念を、まず純粋思考のなかで展開していきまし
ょう。その球は内から外へではなく、外から内へ満たされています。それはその中心と
しての重心を持ちません。天上の光の平面そのものがその中心です。それは点からでは
なく、無数の平面から成っています。それらはみな、光を渇望するかのように、天上の
平面へ帰ろうとする性質を持っています。天上のその平面は、幾何学的中心であるばか
りではなく、エーテル球の中心でもあります。物質的な球が重心のなかのその動的中心
を持つように、エーテル的な球は、その中心の光の平面のなか、いわば軽さの平面のな
かに、その動的中心を持っています。こうして私たちは、“ネガティヴな重さ”の概念を手
にします。それは球面を圧するのではなく、吸引するように作用します。 ー しかし
エーテル球の実質は、球を外から内へ満たそうとします。それは自身の内に、天上平面
へ帰ろうとする自らの傾向に逆らう力を隠して持っているのです。物質的な球が自らの
空間を弾力的に外へ向かって主張するように、エーテル球は自らの空間を内へ向かって
主張します。エーテル球は、空間をネガティヴに満たそうとする自らの傾向と、自らの
ネガティヴな重さとのあいだで、バランスをとりつつ息づいています。ここに、質的に
吸引する力の理念が完全な正確さでもたらされます。(一般的な力学における吸引力は
変容された圧力であるにすぎませんが、ここに述べた吸引力は、空間に対してそれとは
まったく反対の関係にあります)。
 このような性質を持つエーテル球のネガティヴな充満プロセスが過剰なものになると、
その結果として、いわば“爆発”が生じることになるでしょう。そしてその爆発は ー 
外へ向かう通常の爆発を仮に外爆発と呼ぶなら“内爆発”と呼び得るその爆発は ー 球
の皮膚をとおして内側へ作用し、宇宙点へ向かうでしょう。それは火山の爆発のような、
物質的なそれの反対のものになるでしょう。これはルドルフ・シュタイナーが太陽現象
について語ったことばに応じた理念解釈です。
(P.58-59)
 しかし事柄をこのように理念的に解釈することは、地上の自然を観察する際にも必要
になります。なぜなら地上にも、ここに述べたような意味での太陽的な作用が見られる
からです。ルドルフ・シュタイナーは、この太陽的なものがたとえば人間の感覚知覚の
なかでどのように作用しているかについて語っています。たとえば私たちの触覚は物体
の圧力を受け取ります。その圧力に対して私たちは、私たちのエーテル体の吸引力で応
えます。この相互的なやりとりのなかに感覚知覚が生じます。
(P.59)
*以下、「さまざまな自然科学分野が天文学に対して持つ関係に関するシュタイナーの
講演録」から。
太陽に発するもの、この吸引力は、人間のなかのエーテル体に上から下へと浸透しなが
ら作用します。ですから人間のなかでは二つの相反する実体が働いているのです。太陽
実体と地球実体です。
(・・・)
もし私が指でここを押しますと、この押されている表面に、重さを持つ物質が私を押し
返す圧力が生じます。この反力は太陽の力とつりあっています。太陽の力は私をとおし
て、つまり私のエーテル体をとおして作用しています。(…)みなさんに圧力の感覚知
覚を与えているのは、重さを持つものの外から内への圧力と。重さを持たないものの内
から外への圧力との、相互作用に他なりません。
(P.59-60)

<note30>
◎物質的な球は圧力を加えられることによってその特性を表す。
◎その「重さ」は収縮する性質を持ち、中心点である重心へ向かおうとするが、物質の中には入っていけない。
そのため「圧力」に抗する外側への力、「反力」としての弾力性が作用し、
個々の物質に固有の重さと空間を占有しようとする性質に応じたバランスが、
圧力と反力のあいだに生まれることになる。
◎今度は物質的な球に対して、エーテル的な力を持つ球について、
物質的な意味では表象できないので、その理念を純粋思考のなかで展開させる必要がある。
◎エーテル的な球は、物質的な球が内から外へ満たされているののとは反対に、
外から内へ満たされていて、中心に重心を持たない。
中心は、無数の平面からなる天上の光の平面そのものであって、天上の平面へ帰ろうとする性質を持っている。
◎また、動的中心に関しても、物質的な球がその中心である重心のなかに動的中心を持っているのに対して、
エーテル的な球は、無数の平面からなる天上の光の平面のなか、
いわば「軽さ」の平面のなかに、その動的中心を持っている。
このことから、エーテル的なものにおける「ネガティヴな重さ」の概念を得ることができる。
物質的なものにおいては、いわば「ポジティブな重さ」があるのに対して、
エーテル的なものにおいては「ネガティブな重さ」があるということができる。
◎これらのことを踏まえて、物質的なものにおける吸引力とエーテル的なものにおける吸引力について考える。
◎通常の力学における、内から外へと満たそうとする「変容された圧力」である吸引力とは反対に、
エーテル的な球は、球面を圧するのではなく吸引するように作用し、球を外から内へ満たそうとする。
このことから、エーテル的なものにおける「質的に吸引する力の理念」を得ることができる。
◎物質的な球における圧力と反力のバランスのように、
エーテル球における、「自らのネガティヴな重さ」と
「空間をネガティヴに満たそうとする自らの傾向」とのあいだのバランスを考えることができる。
◎エーテル球においてネガティヴな充満プロセスが過剰なものになると、
山の爆発のような物質的な爆発(外爆発)とは反対に、
「球の皮膚をとおして内側へ作用し、宇宙点へ向かう」爆発(内爆発)が生じる。
◎シュタイナーが、人間の感覚知覚における太陽的なものの作用について
、私たちの触覚が物体の圧力を受け取り、その圧力に対してエーテル体の吸引力で応えるような、
相互的なやりとりのなかに感覚知覚が生じるといっているように、
地上の自然を観察する際にもこうした物質的なものとエーテル的なものにおける
圧力や吸引力について考えることが必要である。
*シュタイナー「太陽に発するもの、この吸引力は、人間のなかのエーテル体に上から下へと浸透しながら作用します。
ですから人間のなかでは二つの相反する実体が働いているのです。太陽実体と地球実体です。」
「もし私が指でここを押しますと、この押されている表面に、重さを持つ物質が私を押し返す圧力が生じます。
この反力は太陽の力とつりあっています。
太陽の力は私をとおして、つまり私のエーテル体をとおして作用しています。
(…)みなさんに圧力の感覚知覚を与えているのは、重さを持つものの外から内への圧力と
重さを持たないものの内から外への圧力との、相互作用に他なりません。」