note29:
・物質的なものとエーテル的なものの振幅運動の理念
・内へと成長し宇宙点へと到るエーテル的なものは
 その瞬間に、その物質に新しい始まりをもたらす
・その点のなかで熱が放射し無限平面へ到り
 また再びエーテルの活動力へと反転していく

<ジョージ・アダムス 『エーテル空間』からの引用>

今度は、エーテル的な“内への成長”のなかに見られる、上記とはまったく異なる跳躍プ
ロセス、絶えず加速度的に成長していき、究極的にはその無限の領域、宇宙点へと到る
プロセスを考えましょう。(…)するとここでは、宇宙点はエーテル的に無限の球にな
るのです。私たちはもはや宇宙点を単なる物質的な点とは感じなくなり、ルドルフ・シ
ュタイナーが語ったように、“果てしなく拡がる球面面積を持つ…”と感じるようになる
でしょう。それはまさしく無数の平面からエーテル的に織り成されています。
(P.56)
これが単なる思考プロセスではなく自然のなかで現実的に生起するプロセスであるなら、
あるいは言い換えれば、このようなプロセスが生起するエーテル空間の宇宙点に物質的
感受性(受容体)が存在するなら、エーテル的なものが無限へと成長しつつその宇宙点
を包み込む瞬間は、その物質に新しい始まりをもたらすものとなるでしょう。それはい
まや、新たな仕方で物質的に作用し始めます。なぜならもうひとつの世界、エーテル空
間から、その物質のなかに新たな創造の力が注ぎ込まれたのですから。それはその物質
の、物質世界への新たな誕生です。たとえば熱は点のなかで輝き始め、周囲の物質空間
へと放射していきます。こうして私たちは再び、私たちが慣れ親しんでいる物質的ー空
間的な放射作用、“球面状の拡がりのなかへ消えていく”放射作用とかかわることになり
ます。
(P.56-57)
 熱の放射のこのプロセスも無限に向かって拡がっていき、物質空間の宇宙平面(無限
平面)へ到ります。このプロセスはそこで再びエーテルの活動力へと反転し、再び新た
に内へ向かって作用するようになります。こうして、単に外的ー空間的なだけではない、
ある質的な振幅運動の理念が得られます。エーテル的なものは物質的なもののなかに吸
収され、物質的なものはエーテル的なもののなかへ消えていきます。このような作用が
持つ可能性は、空間と反空間の理念から自然なかたちでもたらされます。もはや私たち
は、外延的な運動のみが現象する所与の閉じた空間に縛られることはありません。空間
の成長と消滅、創造と破壊のなかに生起している様々なプロセスを、私たちは思考の内
に表象することができるのです。
 ルドルフ・シュタイナーはまさにこのような意味において、熱の本質を“内包的運動”
と呼んでいます。
(P.57)
 上に述べたプロセスを静かに思い描くことはとてもよい思考訓練になります。 ー 
無限の拡がりからやって来るエーテル球面の作用が内へ向かい、中心点に吸収される。
その点は無限となったエーテルで満たされ、物質的なものの発端へと変化し、瞬時に、
質的に反転する。点はいまや物質的に輝き始め、成長していく物質球面を拡がりの中へ
送り出す。その球面は再び天球周縁へと到り、そこで再び反対方向への質的反転が起こ
る。そしてエーテル球面は再び内へ向かって成長していく…
(P.58)
 ルドルフ・シュタイナーは語っています。たとえば空間のなかに生じる放射事象は漠
然とした無限の彼方に消えていくのではなく、ある特定の球面へ向かい、そこで質的に
変化して、再び自らの内へ帰ってくる、と。そこにはあるリズムが生まれます。私たち
はそのようなリズム、振幅運動を、まさに空間と反空間の観点から無理なく理解するこ
とができるでしょう。
(P.58)

<note29>
◎この項では、物質的なものとエーテル的なものの振幅運動の理念について示唆されている。
◎つまり、エーテル的なものが内へと成長していき
宇宙点(中心点)へと到りエーテル的に無限の球になると、
熱がその点のなかで輝きはじめ、周囲の物質空間へと放射していき、
それが宇宙の無限平面へと拡がりまたそれがエーテル的なものに反転し
内へ向かって作用しはじめる・・・という振幅運動である。
◎エーテル的なものは内へとむかって加速度的に成長していき、
やがて無限の領域である宇宙点(中心点)へと到りそこでエーテル的に無限の球になる。
◎そのエーテル的に無限の球(シュタイナーのことばでいえば「内へ向かう、
果てしなく拡がる球面面積を持つ点」)は、これまでも再三説明してきたように、
「無数の平面からエーテル的に織り成されて」いる。
球面における点はエーテル的には無限平面でありそれが球面を形成している。
◎これを自然のなかで実際に生起するプロセスとしてとらえるとすれば、
「エーテル的なものが無限へと成長しつつその宇宙点を包み込む瞬間」は、
「その物質に新しい始まりをもたらす」。
宇宙点へと成長していきそれが無限の点になったとき、
潜在的な物質性とでもいえるものが、実際の物質の萌芽として誕生するということである。
◎つまり、宇宙点へと成長して点となったとき、エーテル空間から、
「その物質のなかに新たな創造の力が注ぎ込まれた」ということになる。
「それはその物質の、物質世界への新たな誕生」である。
「たとえば熱は点のなかで輝き始め、周囲の物質空間へと放射してい」く。
◎「熱」は物質の萌芽としての意味をもっている。
シュタイナーは宇宙進化論において、この地球のはじまりを「土星紀」としているが、
そこでは現在の物質とされているものの萌芽としての「熱」が生まれたといっている。
その意味で、「熱」というのは物質が生まれるもっともはじめの状態だと理解することができる。
◎この物質の萌芽としての「熱」の放射のプロセスも、
その拡がりのなかでやがては物質空間の宇宙平面(無限平面)へと到り、
そこでまたエーテルの活動へと反転し、内へ向かって作用するようになる。
ここで得られるのは、外的ー空間的なものだけではない、
物質的なものとエーテル的なものが振幅運動していくという「ある質的な振幅運動の理念」である。
数量的というのではなく、「質的」ということが重要である。
◎私たちはこの理念によって、
「空間の成長と消滅、創造と破壊のなかに生起している様々なプロセス」を
思考の内で表象することができるようになる。