note21:
球をつくり出していくエーテル的形態形成のプロセス
エーテル的な側面と物質的な側面との相関と差異

<ジョージ・アダムス 『エーテル空間』からの引用>

 誤解を避けるために、私たちがまず表象として体験する空間には、“視覚的”あるいは
“見かけ上”などということばを付記することにしましょう。たとえばもし私が“私たちの
視覚的空間の無限遠平面”と言ったとするなら、それはそれとして、そのような平面を指
し示すものです。しかしそれは同時に、その瞬間の純粋思考にとっては、無限遠を意味
するものではまったくないことを示唆することになります。
(P.44)
 エーテル空間の宇宙点が見かけ上の中心点にあると考えたときには、その球はエーテ
ル空間においてもやはり球として現れます。私たちはすでに物質空間とエーテル空間を、
与えられた球面に関して可能なかぎり単純な仕方で関連づけています。私たちは実際、
物質空間のなかの無限遠平面を、球面が持つ性質を通して、エーテル空間のなかでは“無
限遠”を表わすひとつの点に関連づけました。
 しかし球の“内”は、物質空間においては物質実体で満たすことのできる有限の容積です
が、エーテル空間においては無限です。それはまさしく“内への無限”、宇宙点への無限に
なりました。私たちは球面を、たとえばコンパスでするように、もはや内から外へではな
く、外から内へと天球周縁から形成します。私たちは“中心点”からではなく、反対にその
点に対応する平面から、つまり私たちの視覚空間の無限遠平面から始めます。この平面は
 ー 中心点が物質空間では点的であるように ー いまや球面の“周縁中心”となりました。
(P.45)
 中心点から球面に到るまで、半径に沿ってあらゆる方法へ動いていく点を考えたように、
私たちはいま、周縁の中心平面から内側へ、球面へ到るまで近づいていく平面を考えてい
ます。私たちは平面として無限遠から出発し、上からー下から、右からー左から、等々、
あらゆる側から球へ向かって近づいていきます。この平面は自分自身に平行に内側へ向か
います。周縁に発するこの平面の動きは、中心点から半径に沿って外側へ向かう点の動き
に対応しています。球の中心点から延長された直径方向には、この平面が通る、互いに向
き合う二つの道があります。これはどの直径方向でも同じです。だからたとえば水平な平
面は、無限遠の上から下から(これは上と下にある同一の無限遠平面です!)内側へ向か
って球面に近づいていきます ー 中心点から出発したひとつの点が、垂直直径に沿って、
上へあるいは下へ向かって球面に近づいていくのと同じように、球の直径の両側で互いに
向き合う接平面の二重性あるいは点の対が、ここに生まれます。
(P.45-46)
 このように、外から内へとあらゆる側からやってくる平面は、球面を包み込みつつ塑像
します。これが、球をつくり出していくエーテル的形態形成のプロセスなのです。このエ
ーテル的形成プロセスと通常の物質的ー点的なそれとの完全な相関性と、同時にそこに見
られる質的な差異性の内には、ある深い秘密が隠されています。それは大宇宙的人間と小
宇宙的人間との関係にかかわる秘密です。
(P.46)

<note21>
◎ジョージ・アダムスはここであらためて、
私たちが表象として体験可能な空間と純粋思考的にしか体験できない空間とが混同されないように、
前者に「視覚的」もしくは「見かけ上」という言葉を付けることにすると言っている。
たとえば、ユークリッド空間的に視覚空間上で「無限遠平面」といったとしても、
純粋思考的には無限遠を意味しているわけではないということになる。
たしかに、実際に表象できることをいっているのか、
それとも表象はできないが純粋思考的にイメージする必要があるといっているのかは、
反空間としてのエーテル空間を理解するにあたっては、大変重要なポイントでもある。
◎さて、ここでは、「球をつくり出していくエーテル的形態形成のプロセス」について見ていく。
◎球面は、天球周縁から形成されることはすでに見てきた。
物質空間のなかの無限遠平面がエーテル空間になかでは点に関係づけられ、そこから球面が形成される。
つまり、球には中心点があるが、球の生成をその中心点を中心にコンパスで描くように形成されると見るのではなく、
無限遠平面が球面との接点にいわば収縮し「点」となり、
それが球面を形成するとして純粋思考的にイメージする必要がある。
◎その形成については、球の中心点から球の中心点から半径に沿って外側へ向かう点の動きと
「周縁の中心平面から内側へ、球面へ到るまで近づいていく平面」の動きが対応している。
「球の中心点から延長された直径」の「両側で互いに向き合う接平面の二重性あるいは点の対」がここで生まれる。
つまり、「外から内へとあらゆる側からやってくる平面」が「球面を包み込みつつ塑像」していくというのが、
「球をつくり出していくエーテル的形態形成のプロセス」なのである。
◎このように、エーテル的形成プロセスには、物質的に収縮した点が相関しているが、
相関していると同時にそこには「質的な差異」がある。
そしてそこには「大宇宙的人間と小宇宙的人間との関係にかかわる」深い秘密があるという。
マクロコスモスとミクロコスモスの照応ということでもある。
そうした関係について、エーテル的な側面と物質的な側面との相関と差異という
両面において見ていく必要があるということだろう。