note14:
ただひとつの宇宙点を起点とする反空間が存在する
その反空間では、ひとつの点が“無限遠”となる

<ジョージ・アダムス 『エーテル空間』からの引用>

 この空間形態の全体に、ただひとつの原平面、ただひとつの原点が作用しているとし
たら、つまり有機的空間のなかにプロセスとして存在する理念が宇宙的形態として見出
されたとしたら、それはどのようなことになるでしょうか?
(P.33)
 近代幾何学の原空間においては、点と平面との対極性が純粋なプロセス ー ゲーテ
的な意味における“拡張と収縮” ー として作用しています。この原空間からただひと
つの平面を無限遠へ拡がるものとして取り出すとき、ユークリッドの物質空間は生まれ
ます。私たちが慣れ親しんでいる尺度や対象性に関する事象は、この無限平面から説明
され得るものとなるのです。
(P.34)
 物理的に体験し得る空間に対してまさにその反対の相にある空間(…)のなかでは、
私たちはひとつの周縁とではなく、ひとつの宇宙中心点とかかわることになります。こ
こでは力や尺度に関するものもまた、中心点から拡がりへと放射状に作用するのではな
く、まさに拡がりつつ、つまり相対的な“諸周縁”から宇宙中心点へと作用します。要す
るに私たちはこう考えるべきなのです。“無限遠平面”としてのただひとつの宇宙平面で
はなく、ただひとつの宇宙点を起点とする反空間が存在する。そこではひとつの平面で
はなく、ひとつの点が ー ひとつの拡がりではなくひとつの中心点が ー “無限遠”
となる、と。そこに生じるあらゆる空間事象は ー 物質空間においては宇宙の拡がり
のなかへ消えていくように ー その宇宙中心点のなかへ消えていきます。
(P.34)

<note14>
◎物質空間においては、あらゆる空間事象は、中心点から無限遠へと放射状に拡がっていくものとして説明される。
◎たとえば、今ここに自分のいる点があるとすれば、
そこから拡がる空間はその点から周縁へとどこまでも無限に果てしなく広がり続けることになる。
◎それに対して、「反空間」においては、逆にあらゆる空間事象は、ただひとつの「宇宙中心点」へと作用する。
◎その「宇宙中心点」が、「無限遠」となる。
◎ユークリッドの物質空間は、「点と平面との対極性が純粋なプロセス」として作用している近代幾何学的な原空間から、
「ただひとつの平面を無限遠へ拡がるものとして取り出」したものとして説明することができる。
◎note05-06で述べたように、ある方向の無限へと向かうということは、
反対方向の無限から戻ってくるというように、「あらゆる側から自身の内へ回帰」してくる。
通常の物質的な空間では、無限遠というと右、左、上、下に無限に行くというと、
どこまでも遠くの右、左、上、下に行って果てしがなくなるが、空間を球面の平面全体であり、
「無限の拡がりを持つ一元的なもの」「ひとつの自足した全体」であるとイメージしてみると、
その球面上の一点から、右に向かってずっと進んでいくとする。
すると、その球面をぐるりとまわって、左から最初の一点に戻ってくる。
上に向かって進んでいっても同様で、球面をぐるりとまわって下から同じ最初の一点に戻ってくる。
そのように、無限遠は「ただひとつの宇宙点」となり、その点を起点とする反空間をイメージすることができる。
◎その意味で、note07で述べたように、「反空間」としての「エーテル空間」において、
私たちは「内包的なものを外延的に、外延的なものを内包的に体験」し、
「ひとつの周縁とではなく、ひとつの宇宙中心点とかかわる」ことになる。