note13:
「形成原理」は、個々の部分のプロセスと同時に全体のなかにも現れる
その理念は時間においても空間においても見出すことができる

<ジョージ・アダムス 『エーテル空間』からの引用>

 どのようなものであれ個々の存在には個々それぞれに固有の形成原理が埋め込まれて
います。この形成原理はあれこれの要因が組み合わされただけの因果律のなかには現れ
ません。それはまさに内なる生命の現れとして現象します。そのようなものである形成
原理は、たとえば自在に変容し得る性質を持つもの、あるいは音楽的な性質を持つもの
といえるでしょう。この形成原理に内在する理念と生命プロセスは、存在のあらゆる部
分あらゆる器官のなかに繰り返し現れます。たとえばどのような植物にもひとつの理念
的原像が現れています。ひとつの形成原理が、葉やガク、花弁や花芯に現れているのが
認められます。しかし幾重にもメタモルフォーゼした個々の器官に見られるひとつの形
成原理は、全体の特徴として見出されます。植物のあらゆる器官と生命プロセスのなか
に潜んでいるこの原理は、生長した植物の形姿全体に再び現れます。以上のことは空間
だけでなく時間にも当てはまります。たとえば個々の植物の生命リズムとして認められ
るもの、“拡張と収縮”として認められるものは、地球と太陽との宇宙的な関係が生み出
す四季のなかにも見出されます。
 この理念、個々の部分にプロセスとして働いているものは全体のなかにも現れるとい
う理念は、空間形態のなかにも見出されます。それというのも近代幾何学においては、
まさに空間は有機的なものとして体験されるからです。私たちはすでに空間の原理念と
して作用しているものを見出しています。“点”と“平面”との対極性です。私たちはここで
は無数の点と無数の平面にかかわることになりますが、ここで重要な役割を担うのは、
両者のあいだに密接な関連を生み出すもの、“種子と像”の潜在的プロセスです。
(P.33)

<note13>
◎個々の存在には固有の「形成原理」が埋め込まれていて、
それに内在する理念と生命プロセスは、あらゆる器官のなかに繰り返し現れる。
◎しかし、その「形成原理」は「内なる生命の現れ」として、
自在に変容し得る音楽的ともいえる性質を持ちながら現象するのであって、
いわゆる原因ー結果の関係である因果律として捉えることはできない。
つまり、地上的ー物質的な関係性においては理解できない。
◎たとえば葉やガク、花弁や花芯など、植物のあらゆる器官や生命プロセスのなかに
潜在している「形成原理」は、部分において現れるだけではなく、
生長した植物の形姿全体においても再び現れる。
「形成原理」は部分においても全体においても働いているである。
決して部分から全体へという物質的な作用ということでは理解できない。
◎個々の部分にプロセスとして働いているものが全体にも現れるという理念は、
時間においても空間においても見出すことができる。
◎時間という観点からいえば、植物における生命リズムである
「拡張(周縁への拡がり)と収縮(点への収斂)」」は、
太陽と地球との宇宙的な関係が生み出す四季にも見出すことができる。
note10でもふれたが、太陽の影響下にある植物は春と夏には宇宙に向けて目を開き、
外に向かって生長し、秋と冬には目を閉じて地球の影響下にある植物は点の内への収縮して種子になる。
◎空間形態の観点からいえば、有機的なものとして空間が体験される近代幾何学についても当てはまるが、
そこに「原理念」として作用しているのは、「点と面との対極性」であり、
それは「種子と像の潜在プロセス」と密接に関係している。
「原理念」が現れている空間が「原空間」であり、
「物質的なものとエーテル的なものとが均衡を保ちつつ自在に変容する」空間である。