風のトポスノート448 

 

「おまえは誰だ?」


2003.1.19

 

        糸井   十文字美信っていう人は、思えば、ずっと、
                 「おまえは誰だ?」
                    と言われつづけた人なんですね。
        十文字  (笑)
        糸井  「おまえは誰だ」っていう人生(笑)。
 
        (『十文字美信的世界』 第4回 麻薬栽培地で、神話の巻物を探す。
         ほぼ日刊イトイ新聞 http://www.1101.com/jumonji/2003-01-16.htmlより)
 
「おまえは誰だ?」と言われ続けることは難しい。
人はすぐに何かに分類されてしまうし、
自分でも自分を何かに分類して安心しようとする。
 
自分が〜たらん!とすることには
それなりの意味があることもあるのだけれど、
その〜たらん、がなにかに分類されてしまうことになると、
今度はその分類が外から内からその人を規定するようになり、
そこから逃れるのがむずかしくなる。
職業名や肩書きや組織や性別や民族やなんだかんだ。
 
そんななかで、こういう十文字美信のような人がいるのはうれしい。
すぐれた写真家ではあるのだけれど、その底をぶちやぶって、
いやその箱を飛び出して、つねに分類されないものがそこにある。
 
ぼく自身、おまえはよくわからんやつだ!と
以前からよくいわれ続けていたりするのだけれど、
その度ごとに、それをむしろ肯定的に受けとめるようにしている。
こうしてネットをしているなかでも、
ぼく自身なにかに分類されたくはないし、
このMLやHPも分類をすり抜けるものでありたいと願っている。
たとえば、シュタイナー関連のものが重要ではあっても、
常に「遊戯」を身上としていられたらと思っている。
 
さて、この十文字美信をはじめて知ったのは、
春秋社からでている『澄み透った闇』(昭和62年3月30日発行)の
犬を始祖とする少数民族ヤオ族についてのもの。
 
今、ほぼ日刊イトイ新聞で糸井重里と十文字美信に対話
『十文字美信的世界』連載されているがめっぽうおもしろく、
久しぶりに『澄み透った闇』を本棚から見つけてきて、
あらためてそれを最初に読んだときの興奮が甦ってきた。
この本はほんとうにスリリングな本なのだけれど、今でも手に入るのだろうか。
現在のところ、次の5回分が掲載されているが、
その対話のなかでも、そのヤオ族のことがでている。
 
・第1回 黄金の次は、わびだと思った。(2003-01-13)
・第2回 犬を飼ってみたら……。(2003-01-14)               
・第3回 犬を調べていたら、ヤオ族に辿りつく。(2003-01-15)
・第4回 麻薬栽培地で、神話の巻物を探す。(2003-01-16)
・第5回 呪術師に見こまれちゃった。(2003-01-17)
 
ちなみに、十文字美信の新刊『わび』が淡交社からでたところで、
ちょっと高い(23,000円)のでしこたま立ち読みしただけなのだけれど、
これもまためっぽうすごい。
しかも相変わらず分類されえないものになっていて、
その分類されない何かのなかからぼくに力が流れこんでくる。
 


■「風のトポスノート401-500」に戻る
■「思想・哲学・宗教」メニューに戻る
■神秘学遊戯団ホームページに戻る