20世紀初頭まで,群飛して作物に被害をもたらす黒化した集団と通常の 低密度下で現れる体色の薄いトノサマバッタとは別種であるとみなされて いた。1921年にイギリスの研究者B.ウバロフによって,二つの集団は棲息 条件の違いによって起こる多型現象であるという理論が提唱された。それ 以来,棲息密度に応じて変化する相変異*の研究はヨーロッパを中心に盛ん に行われてきたが,条件次第で著しく変化する体色のホルモン機構は謎のま まであった。… *相変異:棲息密度の変化に応じて,行動,体色,形態等が変化する現象で,低 密度バッタを孤独相,高密度バッタを群生相と呼ぶ。 (独立行政法人 農業生物資源研究所 「トノサマバッタの生息密度(大発生時や通常の低密度下)に応じて変わる 体色を制御するホルモン機構の解明」) http://www2.affrc.go.jp/press/H13/0425/0425.html 棲息密度によって変わるトノサマバッタの話は面白い。 ふつうのトノサマバッタ(孤独相)は数十メートルしか飛べないのに、 群生相になると体色なども変化し、数キロにわたって,群飛することもでき、 作物などを食い荒らすようになるという。 おそらく、棲息密度によって、そこに働く集合魂の働きや それにともなった四大の働きなどが変わってくるのだろうと思われる。 このトノサマバッタほど顕著ではないにしても、 その他の昆虫や動物、そして人間の場合を 調べてみても興味深いことがわかるかもしれない。 人間は、虫や動物たちとは異なり、 自己意識というフィードバックの力が働く可能性がある分、 集団の中でも「孤独相」でいることができる。 集団の力を感じ取り、そこから衝動を得ながらも、 自分が今何をしようとしているのかに気づいて、 そうした衝動から離れることもできるということである。 しかしそうした自己意識の力を自分で育てていかないとしたら、 人間以外の存在よりもさらに恐ろしい暴走をする可能性を有してもいる。 「報復」を正義だとするような幼稚なありかたもそうだし、 異民族だとして虐殺しても恥じないようなあり方もそうである。 半ば確信犯的な暴走であるだけに事態は深刻になる。 |
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