ポエジー・ノート

7 驚嘆


2002.5.26

 

        ゲーテの
 
                ーーある力が、庭の中で、薔薇となって咲き、まさにその同じ力が、
                人間の中で詩となって表現されるーー
 
         この言葉をタゴールは引用して、「この力はすべての人の中に現に働い
        ている」と受けつつ「ごくあたりまえの事も、生の特別の状態で、特別に
        実感されるとき、それは、ある光のように、突然、われわれを驚嘆させる。
        まさに、あたりまえの事を、特に新たに知ることができたとき、その驚嘆
        は特に強く、衝撃を与える」といいます。
 
        (吉増剛造「詩をポケットに」(上)
         NHKのカルチャーアワー・テキスト/P96-97)
 
驚嘆し得るものを求めて
地の果てまで旅する必要はないだろう。
驚嘆の種はひとしくわれわれの内に蒔かれ、
時を待っている。
われわれの気づく時を。
 
私がここにいる。
世界がそこにある。
その奇蹟に気づき、
その存在させている力を実感する時。
私はその前でただ涙を流す。
 
そして、あなたがいること。
それは希有の奇蹟となる。
愛さずにはいられない。
妙なる音楽が
私の内から流れ出す。
 
愛する力はどこからくるのか。
愛する自分さえいれば、
あらゆる力がそこに注ぎ込まれる。
そのとき人はあらゆるものの内にあり
そこに響き渡る力の働きに気づくことができる。
 
 


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